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ヨーロッパでのプレゼン、勝利の秘訣

養老孟司×隈研吾×廣瀬通孝 鼎談:日本人とキリスト教死生観(2)

2014年3月25日(火)

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廣瀬通孝・東京大学教授の専門はバーチャルリアリティ。その研究に対し、養老孟司先生は、「都市ができた時から、人間のバーチャル化は始まった」と指摘します。隈研吾さんを交えた栄光学園OBによる鼎談は、キリスト教イエズス会の教育へと広がっていきました。

養老先生と廣瀬先生は、初対面でいらっしゃいますか。

養老:廣瀬さんとは何度も会っていますよね。

では、廣瀬先生の研究領域に関してもご存じなんですね。

養老:多少は知っています。

廣瀬先生、我々はまだ蒙昧なので、簡単に教えていただけますでしょうか。

廣瀬:僕はコンピューターが専門なのですが、中でもバーチャルリアリティ(VR)の研究を四半世紀以上に渡って続けてきました。コンピューターグラフィクス(CG)という技術はご存知だと思いますが、VRはそこから派生した技術で、映像世界の中に入り込んでいろいろ擬似体験をしてみよう、というものです。東大の研究室では、「デジタルミュージアム」「ライフログと未来予測」「デジタルパブリックアート」「高齢者クラウド」などのプロジェクトに取り組んでいます。

例えば、どのような取り組みなんですか。

廣瀬:「デジタルミュージアム」を例に取ると、博物館にはいろいろな展示物が置かれていますが、多くの場合、それらは貴重なものなので、手を触れて体験するわけにいきません。でもVRを使えば、自由に手に取ったり、いろいろな方向から眺め回したり、動かしてみたりと、より深い観察が可能になります。そのためにどんな技術が必要になるのか、実際の展示を行って研究してみようという試みです。

 実は僕は養老先生とは、もう何遍もお話しさせていただいています。というのは、養老先生のご専門は、脳の中で起こっている出来事でしょう。

養老:まさしくバーチャルリアリティなんだよ。

左から、隈研吾氏、養老孟司氏、廣瀬通孝氏。撮影:鈴木愛子(以下、特記なきものはすべて)

都市こそがヒトの脳を反映したバーチャルリアリティ

廣瀬:ですよね。バーチャルリアリティって、外でいろいろ映像的な刺激を作って、それで実際に存在しないものを、あたかも存在しているように見せることですよね。でも、存在しているように感じるのは、人間の頭、つまり脳です。

 VRというものが騒がれた時に、養老先生は「都市ができた時から、人間のバーチャル化は始まった」とご本にお書きになっていたんですね。

養老:脳化都市っていうことを書きましたね。

廣瀬:人間が都市を作った時点で、人間の脳の中の出来事が空間になってしまったのだ、という論でした。だからバーチャルリアリティというのは、今に始まったことじゃないんだよね、と。それは僕にとっては、目からウロコが落ちるようなお話だったんです。

養老:都市は隈さんの専門にも関わってきますよね。

:そもそも、きみたちがやっている建築とは、かなりフィクショナル(虚構的)なものだという先生の批評は、僕にとっても目からウロコでしたね。建築家って、自分たちがやっていることを、すごくリアルだと思っているのですが、その原点となる都市が、実は危ういフィクションなのだ、という認識は養老先生から与えていただいたと思っています。

それ以前は、あまり気付いていなかったんですか。

:うすうす気付いてはいたんですよ。だって若いころの僕は、先輩の建築家たちに対して「怪しげな人たちだなあ」と思っていたので(笑)。

 例えば丹下健三さんとか、黒川紀章さんとか巨匠と言われていた建築家は、「都市計画」の概念を日本に持ってきた人たちです。でも、彼らの語る都市計画というのは、壮大な大風呂敷なわけですよ。

 丹下さんの「東京計画1960」は、いまだに20世紀の代表的なアーバンデザインと評価されていますが、その実態は、皇居を起点とする軸線を東京湾まで描いて、それに沿った形で海上都市を作るという環境破壊プロジェクトです。

 黒川さんが提唱した建築概念の「メタボリズム」は、建築を生物のようにとらえるというものでしたが、僕らの世代には誇大妄想にしか映らなかった。

 それらの絵に、うさんくささを感じていた僕に、養老先生の言葉はとてもマッチしました。

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「ヨーロッパでのプレゼン、勝利の秘訣」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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