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日本から学べる、欧米金融政策の出口戦略

最新手法で分析する量的緩和解除の行方

2014年3月26日(水)

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 現在米国では、量的緩和政策の出口戦略のタイミングをめぐる議論が活発だ。だが議論のどのような点に注目すればその適切さが判断できるだろうか?

 日本では、政策金利がゼロに誘導され中央銀行の準備預金が法定額を大幅に上回る状態を誘導する政策(以下これをQEという)が既に3回目に入っており、米国や英国よりもずっと経験が長い。欧米の政策決定には、過去における日本の経験から学べることがあるかもしれない。

 そこで、日本における前回のQE解除時点では何が起こったのかを考えながら、最新の分析手法 を駆使して検討してみよう。

 筆者らの分析(林文夫・一橋大学教授との共同論文“Exiting from QE”,NBER working paper 19938, National Bureau of Economic Research.Inc, 2014)は、2011年にノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ教授らによって開拓され、その後目覚ましく発展してきた多変量時系列解析という、実際のデータに語らせることに重きを置いた実証的な枠組みを応用している。

 筆者らの分析の新しい点は、金融政策ルールのシフトを内生的に組み込んだことにある。具体的には、2タイプの金融政策(テイラールールに従う通常の金融政策と、政策金利をゼロに保ち超過準備をコントロールするQE政策)を考え、QEが解除できる条件に、マクロ経済の状態を織り込んだ。

QE解除を見込んだ効果をより正確に測定

 これにより、例えば「インフレが2%になるまでQEを続ける」といった現実的な条件をモデルに組み込むことができ、QE解除のインパクトを具体的に分析することができる。さらに、将来のQE解除を見込んだ上での非伝統的金融政策の効果を、より正確に測ることができる。

 表1は、2006年における政策金利、超過準備、インフレ及びGDPギャップを示している。ここで超過準備とは、「準備預金制度の対象となる金融機関が、法定準備預金額を超えて日本銀行に預けている当座預金または準備預り金」のことをいう。日銀は3月に日銀当座預金残高の操作目標設定を解除したが、その後も数ヶ月間は政策金利をゼロに据え置いていたこと、結果として、このゼロ金利はコアインフレ(2005年基準の消費者物価指数)が前年同月比で0.2パーセントになるまで続けられていたことが表より確認できる。

 超過準備に関しては、その数ヶ月の間に減らされていったものの依然として法定額を大幅に上回っていたこと、そしてゼロ金利解除の時には、超過準備比が法定額近くまで戻ったことが確認できる。従って、上述の定義によるQEは2006年の夏まで続けられていたといえる。

表1:2006年のQE解除付近における指標

 解除時点における超過準備の減少は、超過準備についての需要曲線の形状をみれば、通常予想されることである。図1は名目政策金利から日本銀行による超過準備に対する付加分を引いた金利(「純」政策金利)を縦軸に、横軸には超過準備率(表1の超過準備比に対数をとって100をかけたもの)を表している。

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「日本から学べる、欧米金融政策の出口戦略」の著者

小枝 淳子

小枝 淳子(こえだ・じゅんこ)

東京大学経済学研究科特任講師

1999年東京大学経済学部経済学科卒業。2005年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校経済学博士(Ph.D.)。同年から、国際通貨基金(IMF)エコノミスト。2009年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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