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“上司の異動”を命じた母親と、近視眼に陥るミドルの共通点

他人のせいする人々が置き去りにした“覚悟ある行動”

2014年4月22日(火)

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 「なんと母親から、『上司を異動させてください』って電話がかかってきたんです。あまりの衝撃で、8秒くらいフリーズしちゃいましたよ(笑)」

 苦笑いしながらこう話してくれたのは、食品関連の会社の部長職の男性である。

 「うちの子がウツになっちゃたんで、休ませてもらいます」

 そう会社に電話する、“産業医もどき”の母親の存在を聞いたことがあったが、ついに“人事権”をもつ母親が登場しただなんて……。そりゃあ、驚いて金縛りにあうのも無理もない。

 しかも、「あの上司は息子と合わない。息子の力が発揮できない」と、“人事部長もどき”は訴えた。

 社会人になった“息子”のために電話する行為だけで正直わけが分からないのだが、「上司の異動願い」とはどういうことか。この上司が勤務怠惰だったり、パワハラしたり、なんらかの問題のある上司だったら、まだ理解できるのだが、そうじゃないと彼は断言した。

 「極めて普通の、どこにでもいる48歳の課長。“息子”を不当に扱うこともなければ、彼だけに厳しくするという事実もない。クレームの対象にはなりえない上司」なのだそうだ。

 これって何なのだろう? ひょっとしてこの親子は、上司さえ代われば、息子は別人になるとでも思ったのだろうか。
 で、もし、もしも、彼らの望み通り新しい上司になって、また合わなかったとしたら……。

 また、上司異動願いを出す?

 うん、そうなる。きっとなる。息子が見違えるような別人になるまで、異動願いを出し続ける。「合う上司になれば、息子の能力は発揮できる!」。そう、どこまでも信じ、期待通りの “上司”を追い求めるに違いない。

自分の周りしか興味がない人、増えていませんか?

 「合わない上司はいらない!」と訴えた親子のエピソードはかなりの衝撃だったが、この部長さんの話には続きがある。「合わないから」と、他者を排除しようとするのは、“息子”のケースだけじゃないのだという。

 「30代や40代の社員でも、『あの人とは組みたくない。自分の力が発揮できない』と平気で言う輩もいるんです。もう少し広い視野で物事を考えて欲しいのに、ものすごく近視眼的な社員が増えているような気がしてなりません」

 実は私も最近、働く人たちの関心事が、自分の生活世界にぎゅ~っと凝縮されていて、視野狭窄に陥ってないか? と感じることが度々あった。

 「自分を取り囲む環境さえよくなれば、自分自身も、自分の人生も、きっと満足できるものになる」と、信じている人が増えたように思う。

 私は、これを「半径3メートル問題」と呼んでいる。

 1メートルでは狭すぎる。かといって、5メートルでは広すぎる。だから、3メートル。「自分を取り囲む環境=生活世界」をできるだけ分かりやすくイメージするために、私が勝手に「3メートル」としているだけなので、ご理解くださいませ。

 いずれにしても、私たちは誰もが例外なく、日常を過ごす生活世界を持ち、その“世界”で起きる出来事に苦悩し、ストレスを感じ、ときには、楽しみ、勇気をもらい生活している。

 そして、どんなに社会が幸せでも、自分の生活世界が満足いかないものだと、幸せは実感できないし、どんなに社会が不幸でも、自分の生活世界が満足いくものであれば、幸せだと思える。つまり、半径3メートルの自分世界は、生きていくうえで極めて重要なのだ。

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「“上司の異動”を命じた母親と、近視眼に陥るミドルの共通点」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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