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「10皿」のフランス料理本で考えた職人、そして和食の未来

現地で信頼を得た先人が示す2つの方向性

2014年5月12日(月)

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 コンサルタントという職業に就いて、20年ほどが経った。正直なところ、最初は「2~3年したら、違う職に就くのかな」と思っていただけに、時々、どうしてこんなに長持ちしたのだろうか、と考えることがある。

 1つの答えは、「職人的な仕事が好きだったから」だ。

 先人が築いてきた定石を、いちいち考えなくても身体が動くレベルまで、ただひたすら身に付ける。その上で、自分の色を出し、かなうことならば、新しい定石になるようなものを創造する。工芸、音楽、落語…。みなこういう部分は共通で、職人的な要素があるようだ。

 経営コンサルタントという職業も同様で、徒弟的な修行の時期、自分の色を少しずつ出していく時期、何か新しいものを作り出そうと苦闘する時期、それぞれに喜びがある。新しい定石と呼べるほどのものは、まだ創れていないけれど、結果的に、どの時期も必死に走ることが楽しくて、私の場合は、20年以上も続けることになってしまった。

読む者の心を打つ「職人の神髄」

 ほかの仕事との共通部分への興味もあって、異分野の職人の方々の書かれた本を読むのも大好きだ。そんな中で、最近読み返して、再度素晴らしいなと思ったのが、『十皿の料理―コート・ドール (御馳走読本)』(朝日出版社)という一冊。フランス料理の名店コート・ドールのオーナーシェフ斉須政雄さんがお書きになったものだ。

 十種類の料理を取り上げながら、その一皿一皿について、ご自身が経験され、感じてこられたことを書いていらっしゃるのだが、その中にのぞく職人の神髄のような部分が、とても心を打つ。「我々にも参考になる」と言ってしまうとおこがましいのだが、全く異なる職業に就いている身にも、奥深いところに沁み入るように「こんなふうに考え、働ければいいな」と思わされるのだ。

 例えば、ムッシュ・べナーというパーレビ国王やロスチャイルド家の料理長をしていた大先輩から学んだことを書いておられる部分を、少し引いてみよう。

 「風貌はただ好々爺然としている」としたうえで、「格別に高邁なことを言うわけでもなく、淡々と当たり前に仕事を進め、できあがるものは家庭料理のようなものでした」

 「これがまたすこぶる旨いのです、、、だからといって、同じ材料を使って真似をしても同じ味にはならないのです。あんなに簡単そうにやっていたのに」

 「淡々と事を進める裏にひそむエネルギー、強靭な精神力に裏打ちされたしなやかさを、目の前で示してもらったのだと思いました。そうしてできあがったものは力強く、簡素なものでもきちんと手順を誤まらなければ、品格を伴って僕たちに迫ってくるのだ、、」

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「「10皿」のフランス料理本で考えた職人、そして和食の未来」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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