• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「日本版NIH」という呼称の功罪

似て非なる名が批判や誤解を生む

2014年6月2日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「日本版NIH法が成立」という報道がなされたのをご覧になった方も数多くいらっしゃるだろう。5月23日に参院本会議で、健康医療戦略推進法および独立行政法人日本医療研究開発機構法という2つの法律が制定され、国が予算を提供する医療の研究開発にようやく司令塔ができることになる。

 2013年6月に成長戦略の柱の1つとして掲げられてきたテーマが実行に移されるということで、「まずは良かったな」と素直に思う。複数の省庁やその配下にある研究機関の縦割りが強く、メリハリのついた予算配分が困難、研究へのガバナンスもあいまいになりがち、というのが日本の国主導の医療研究の課題であった。この状態を打ち破るため、首相直下の司令塔機能を作る、という大きな方向性については、あまり異論がないところだ。

 しかし、同時に「どうしていまだに『日本版NIH』という言い方で報じられるのか」という思いも強い。今回の司令塔機能は、米国のNIH(National Institutes of Health=国立衛生研究所)とは相当に違うものだ。ところが、これまでのところNIHという名称からの類推により様々な批判や誤解を生んできた。

 せっかくの試みが抵抗に遭ってきた一因は、この点にあるのではないか、と考えている。今後も、日本版NIHと呼ばれ続けるようでは、事と次第によっては、組織運営上も新たな問題が生じてくるかもしれない。

 最初についた「呼び名」というのは、そう簡単に変わらない。もし当初の呼び名が、実態とは異なっているならば、そのギャップがいろいろと面倒なことを生む。いやはや、名前というのは、本当に大事だなあ、というのが正直な感想である。

米国のNIHの実態と日本の実情

 少し、事実関係を整理しておこう。

 2013年6月14日に、「日本再興戦略」、いわゆる成長戦略が決定された。その中に「戦略市場創造プラン」という新産業を興していこう、という項目が含まれていて、“日本版NIH”の設立も、その呼び名と共に登場している。

 NIHは、年間300億米ドル(約3兆円)の巨大な予算を有する米国の政府機関であり、通常日本語では、国立衛生研究所と訳されている。米国の医療・健康に関する国家予算をどの研究に配分するか、という機能を有すると共に、合計予算のうち10%前後を使って、傘下の複数の研究所で実際に研究活動も行っている。

 DARPA(Defence Advanced Research Projects Agency、国防高等研究計画局)と並んで、米国が他国を圧倒する規模の研究開発を国家予算で行っていることの証左として取り上げられることの多い機関だ。米国の国家主導の研究開発費用は、日本の約5倍だと言われている。民間企業同士を比較すると、約2倍であり、その差は非常に大きい。

コメント2

「御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」」のバックナンバー

一覧

「「日本版NIH」という呼称の功罪」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック