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「俺、考えるの止めてる?」 部下を無力化させるリーダーの大罪

考えない社員が量産される真の理由

2014年7月8日(火)

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 権力は、権力をもたらす――。

 常々そう思っていたけれど、その瞬間をまざまざと見せられた感じがした。

「僕にまかせなよ。僕が決めるから。キミたちもそのほうが幸せになれるよ。だって、キミたちのことを、いちばん考えているのは僕なんだよ。キミたちが危険な目にさらされないように、僕がちゃんと考えて、判断して決めるから。何も心配しなくて大丈夫だよ」

「だって、キミたちを守っている“武器”(=憲法)は、かなり旧式のやつで、使いものにならない。そのことがわからないのかな? いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜いていくからさ」

 そんな風になだめられている気がした。
 そう。先日、集団的自衛権容認の閣議決定を受けて、安倍首相が行った記者会見である。

「何? 今日は上司部下関係じゃなく、政治を語る?」

 いやいや、そういうわけではありません。

 もちろん今回の決定にも、集団的自衛権にも、憲法9条についても、個人的な意見はある。特に、「目的は手段を正当化する」といわんばかりに、正面から憲法改定の手続きを踏まなかったことへの抵抗感は強い。

権力者のいいなりになるしかないの?

 だが、それ以上に、
「私たちは、権力者のいいなりになるしかないのだろうか?」 と、とてつもない不安と無力感を抱いたのである。

 私の認識が間違っていなければ、憲法は国のルール。「一部の権力をもった人が暴走して、強い立場にいる人の言いなりに、弱い立場の人たちがならなくていいようにするために存在する」と、小学校で教わったと思うのだが、それが皮肉にも、権力によって空洞化した。

 それは、権力が占有化された、ことを意味する。

 権力の占有化は、大きな問題をもたらす。
 無力化、だ。

「社長のOKがでないと動けない」
「社長に聞いてみてからじゃないと……」

 そんな言葉をつい口にしてしまったり、あるいは、耳にすることはないだろうか。そういう組織のトップは、決まって強い権力を行使している。絶対的な権力は人を無力化し、無力化した人は、考えることを自ら放棄する。

 そこで今回は、「権力と無力化」について、あれこれ考えてみます。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「俺、考えるの止めてる?」 部下を無力化させるリーダーの大罪」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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