• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

年金財政の破綻を回避する4つの選択肢

米国で分析した制度改革の経済への影響と厚生効果

2014年8月18日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 高齢化の進展で、年金制度がこのままでは維持できないことは明らかだ。筆者は米国における年金財政を均衡させる4つの具体的な政策案を提示し、それぞれの政策が引き起こす経済への影響及び厚生効果を分析した。

 筆者は論文「Sustainable Social Security: Four Options」(2014 年中に、学術誌「Review of Economic Dynamics」に掲載予定)において、米国における年金財政を均衡させる4つの具体的な政策オプションを提示し、それぞれの政策によって引き起こされる経済への影響、および厚生効果を分析した。

保険料収入を増やすか、支給額を引き下げるか

 それぞれの4つの政策が目指すところは皆同じである。すなわち、高齢化による人口構造の変化を踏まえた上で、長期的視野に基づいた持続可能な年金システムの構築をすることだ。いずれの政策オプションにおいても、必要条件は年金支出と収入を一致させることである。1つ目のオプションは所得にかかる保険料率を引き上げて収入を増やす政策であり、残りの3つは、異なる方法により年金平均支給額を引き下げて総支出を減らす政策である。

 いずれのオプションを取るにしても、小手先の調節では年金財政のサステナビリティという大問題の抜本的な解決策にはならない。当然のことながら、どの政策が実施されるかによって、我々1人ひとりの行動も変化する。個人の行動が変われば、資本、国内総生産、金利、賃金といったいわゆるマクロ変数も変動する。マクロ変数が変われば当然、我々の行動もそれに反応する。

 年金額が変動したり、増税により手取り賃金が大きく変化したりすれば、個人の消費、貯蓄、労働に関するインセンティブや人生計画に大きな影響を与える。

 例えば、年金の大幅削減が決定されれば、日々の支出を減らして老後に向けた貯蓄に回す人が増えるかもしれない。貯蓄が大幅に増えて銀行の預金残高が増えれば、企業が投資に使うことのできる資産が潤沢になり、金利が低下するかもしれない。

 企業が借り入れを増やし生産高が伸びれば人手が足りなくなり、求人倍率が上がって賃金が上昇するかもしれない。収入が増えて仕事のオプションが増えれば、引退を遅らせてもう1年長く働いたり、残業を増やしたりする人が増えるかもしれない。より多くの資本や労働力が生産活動に向けられれば、さらに多くのモノやサービスが生まれ、経済成長が促進されるだろう。

 年金改革に限らず、税制改革や一般的な社会保障制度改革など、大きな政策の変化による影響を分析するには、個人や企業のミクロ主体とマクロ経済とがどう相互作用するかを考慮に入れることが重要である。このような分析を実現するフレームワークを、マクロ経済学では「動学的一般均衡」と呼んでいる。

コメント7件コメント/レビュー

結局、年金の危機は人口の危機。そんな視点が必要と思います。世界との社会保障協定を辞めるなら、国際連盟を椅子蹴って退場したような孤立となるでしょう。ドイツの社会保障意識をプリウスとするなら、日本の社会保障意識は初期型カローラ。50年くらいの差があるという意味で。(2014/08/18)

「「気鋭の論点」」のバックナンバー

一覧

「年金財政の破綻を回避する4つの選択肢」の著者

北尾 早霧

北尾 早霧(きたお・さぎり)

米ニューヨーク市立大学准教授

米ニューヨーク大学経済学博士(Ph.D.)。米ゴールドマン・サックス証券、米南カリフォルニア大学助教授、米ニューヨーク連邦準備銀行シニアエコノミストなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

結局、年金の危機は人口の危機。そんな視点が必要と思います。世界との社会保障協定を辞めるなら、国際連盟を椅子蹴って退場したような孤立となるでしょう。ドイツの社会保障意識をプリウスとするなら、日本の社会保障意識は初期型カローラ。50年くらいの差があるという意味で。(2014/08/18)

アメリカの記事の和訳なのはわかるのだけど・・・「公的年金の支払が減れば貯蓄が増え、最終的には経済へのプラス効果が大きい」というロジックは理解しかねる。一面ではそういう効果「も」ある、ならともかく。自分の感覚だと、貯蓄が増えるどころか生活に困窮した階層が増えて社会的不満の増加や治安の低下が発生し、結局は経済への負担が大きくなるように感じるのだが・・・。(2014/08/18)

景気動向やインフレ率、または国債の利率などを考慮しながら進めるべき話だと感じますが…何故、増税(増収ではない)か給付抑制かしか選択肢がないという不自由な2択に絞ろうとするのでしょうか?例えば、インフレ率が2%以下で国債利率が1%以下であれば、日銀の国債買入によって年金福祉を政府が保証するなんていう手だってあるはずです。(実質国民の負担はない)長期的には問題となるのでしょうが、それでインフレ率などが上昇し問題になっても、少なくとも名目的には税収は増加しますので、それを原資に福祉や国債の返還に利用できるのではないでしょうか。また、サービスの生産性を高める投資を今のうちに行い、来たるべき人手不足などに備えるほうがよほど健全化と個人的には考えます。(2014/08/18)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長