• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

錦織フィーバーだけじゃない、USオープンの知られざる楽しみ方

多様性のない報道がファンから真実を奪う

2014年9月19日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 遅ればせながら、錦織圭選手のUSオープン決勝進出の快挙は凄かったですね。米国人の知人からも「ニショーオリー決勝進出おめでとう!」(まだ名前が全米的に知られていないため、正確に「ニシコリ」と発音できる米国人は少ない)などと言われました。同じ日本人としてとても誇らしい気分にさせてもらえました。

 決勝では惜しくも敗れてしまったものの、世界ランキング1位のジョコビッチ選手を破ってのアジア人初の4大大会決勝進出。そんな錦織選手の歴史的偉業に水を挟むつもりは全くありません。しかし、現地での空気感を知っている身としては、日本から伝わってくる画一的な報道や、それを鵜呑みにした反応を目にしていると、何とも言えない違和感を覚えずにはいられないのも正直なところです。

 日本の知人から、「今ニューヨークは錦織選手の話題で皆すごい盛り上がってるんでしょう?」「今米国では錦織選手の決勝進出の話題でもちきりなんですよね?」などとメールが来たりしたのですが、現地で感じる空気感とは何か少し違うのです。もちろん、一部在米日本人の間では大きな話題にはなっていましたが、誰もかれもが錦織選手の話題でフィーバーしているという状況ではないのです。

 この感覚は、昨年8月にヤンキースのイチロー選手が日米通算4000本安打を達成した時や、今年4月にマー君(田中将大選手)がヤンキース入りした時にも感じたものです。(両者については、他媒体でコラムを書いていますので、興味がある方はご覧下さい。「イチロー選手の4000本安打は米国でどう報じられたか?」「マー君の日米報道ギャップから、メディアの役割を考える」)

 その違和感とは、日本人が(日本で)盛り上がっているのと同じ方法・テンションで、現地も大いに盛り上がっている、という前提を意図的に共有(演出)しながら報道がなされている点です。しかし、現地の様子は報道とは違うケースも少なくありません。

 スポーツ報道にある程度のナショナリズムが反映されることは当然のことだと思います。やはり、自国民の活躍を見るのは嬉しいことです。しかし、そのナショナリズムも行き過ぎると、メディアを通してしか現地の様子を知る術がないファンには、スポーツの本当の姿が届かなくなってしまう恐れがあります。その点を私は少し危惧します。

 実際、イチロー選手の日米通算4000本安打は、米国では淡々と報じられていただけですし、マー君も、ヤンキース入団当時は何かを約束された特別な投手という位置づけでは全くありませんでした。今年のUSオープン男子シングルス決勝も、「本命不在のアンダードッグ対決」「アジア人初の決勝進出」ということで錦織選手にも大きな注目が集まっていましたが、猫も杓子も「ニシコリ」「ニシコリ」という訳ではありませんでした。

 報道している側にも、この点に気づいている人はいると思うのですが、どうも皆が盛り上がっている「空気」を壊すことが怖いのか、あるいは報道しても見られない(読まれない)と諦めているからなのか、多様性や対立軸のある報道が出て来にくい土壌があるように感じます。

 例えば、今年のUSオープンでは錦織選手を合わせて4人の日本人が決勝に進出しています。そして、錦織選手以外の3選手は全て優勝を手にして、各部門合わせて5冠を達成しています。こうした事実を知っている人がどれだけいるでしょうか?

 また、USオープンの会場に足を運んだことがある方なら分かると思いますが、テニスとは、野球やサッカーといった日本人に比較的馴染みのある観戦スポーツとは楽しみ方が全く異なるスポーツです。そもそもある特定の選手だけを応援して盛り上がることを想定したイベントではないのです。多分、こうした点も多くの人には知られていないUSオープンの魅力の1つなのではないでしょうか。

 今回のコラムでは、報道からは分からない米国でのテニスの楽しまれ方、USオープンの知られざる魅力を皆さんにご紹介しましょう。

コメント4

「鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」」のバックナンバー

一覧

「錦織フィーバーだけじゃない、USオープンの知られざる楽しみ方」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官