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「正社員はまともな人?」1億7000万の格差生む“多様な働き方”幻想

非正規雇用を「所詮、他人事」と捉えてはいけない

2014年11月11日(火)

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 最近、周りが契約、派遣、パートといった非正規雇用だらけになっている。

 ラジオやテレビの現場のスタッフ、雑誌や単行本の編集者、大学で一緒に講義を担当する先生、さらには、フィールドインタビューに協力してくださる人たちなど、

「1年更新なんです」
「3年で終わりです」
「次はどうしようかって感じで……」

 と、“今”やるべき仕事と“この先”の仕事に、不安を隠せない方たちがやたらと多い。

 たまたま私の周りにそういう方が、多い?
 そうかもしれない。まぁ、私もフリーランスという非正規なので(苦笑)、類は友を呼ぶってこともあるかもしれない。それでもやっぱり、3人に1人が非正規という数字のリアリティを感じることが増えた。

 しかも、私の周りの非正規の方たちは、みな35才以上。2014年版の労働経済白書(厚生労働省)で、25~34歳で非正規社員から正社員になった割合は34.9%であるのに対し、35~44歳では22.8%、45~55歳で17.8%と低下し、35才限界説なるものが話題になったことがあったが、非正規から抜け出せない“魔の年齢”の存在はホントなのだ。

 中には、名古屋、東京、博多、大坂、東京と、3年ごとに転々とし、結婚もできないまま(しないのではない。できないのです)、40代に突入した人もいる。

 やれ、少子化だ! それ、婚活だ!(政府が少子化対策の一貫で税金使ってましたね)と大騒ぎする人たちの“目”に、非正規の方たちはちゃんと映っているか。甚だ疑問だ。

 派遣法改正案の審議でも、塩崎厚労相大臣はチグハグな答弁を繰り返しているし、「所詮、他人事なんだなぁ」と、つくづく感じる。企業側の景色しか見ていないのだろう。

 そんな折、信じられない言葉を出くわした。

 「でもね、まともな人は正社員になれるんだよ」――。

 えっ、今なんといいました?? と、一瞬、耳を疑った。思わず本音をポロリとこぼしたのは、ある大企業の役員の男性である。

 でもね……、っていったいナニ?
 まともな人って、どういうこと?
 雑談の最中だったので、“発言の手綱”がつい緩んでしまったのだろうか。

 いずれにしても、相手が初対面ということもあり、その真意を聞くことも、つっこむ勇気ももてず……。ああ、実に情けない。これだけ非正規の問題について、コラムでも取り上げているのに、なんてことだろう。

 ただ、非正規の方たちのための制度や政策が一向に進まない理由を、このストレート過ぎる言葉は表しているんじゃないかと思ったりもする。

 そこで今回は、この「まともな人」について、あれこれ考えて見ようと思う。

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「「正社員はまともな人?」1億7000万の格差生む“多様な働き方”幻想」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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