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エボラ出血熱で考えた新たなリスクへの対応

新たな知識の獲得がカギを握る

2014年11月17日(月)

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 エボラ出血熱に関してのニュースが引きもきらない。幸いなことに、最近日本で疑わしいとされた例は、検査の結果、陰性だったとのこと。だが、人がグローバルに移動する時代にあっては、遠く離れた地域でのパンデミック(感染症の大流行)であっても、日本の社会・経済への影響は起こり得る。

 人の移動に伴って、日本国内でも感染リスクがあるということだけでなく、SARS(重症急性呼吸器症候群)の際に見られたように、貿易をはじめとする経済活動の低下という事態になれば、間接的に日本企業の業績や(極端な場合)景気にも影響を及ぼし得るからだ。

 さて、過熱気味の報道を見ていて気になったことがある。そもそも、エボラは1976年にスーダンで発見され、それ以降10回以上の流行があったという。これまでは、ここまでの大騒ぎにならなかったのだとすると、そもそもなぜ今回はこんな大問題になったのか。

 たまたま、同僚のグループがUNMEER(United Nation's Mission for Ebola Emergency Response、国連エボラ緊急対応ミッション)の立ち上げとその後の運営を支援しているので、このあたりを確認してみた。

顕在化したのはヘルスリスクだけではない

 彼女たちによれば、今回は、いわゆる「フラジャイルステート(脆弱な政府)」でエボラが流行したことが、ここまで危機が拡大した大きな要因であるらしい。言い換えれば、ヘルスリスクだけでなく、ポリティカルリスクが顕在化したということだ。

 これまでの流行の場合、感染者数が1000人に満たない規模にとどまり、比較的速やかに流行は収束している。確かに、エボラ出血熱の致死率は高く、危険な感染症だが、患者の隔離と初期治療をきちんと行うことで、大流行を防ぐことが可能であり、事実、これまではそうなってきた。

 今回も、アフリカの中でも、速やかに対策が取られた国では、既に終息宣言が出されている。残念ながら、現在の流行の中心地であるギニア、シエラレオネ、リベリアの各国は、内戦などによって統治能力が著しく低く、十分な感染症管理や患者への治療ができない国々である。

 WHO(世界保健機関)によれば、エボラの致死率は25%から90%と大きな幅がある。これは脱水防止をはじめとする初期治療をきちんと行えば、助かる確率が大変高くなるということらしい。

 世界銀行が2010年に発表したレポートの中に、「人口何人に1人、医者がいるか」という統計がある。これによると、スペインなら253人に1人、米国なら413人に1人のドクターが存在するのだが、ギニアは約1万人に1人、シエラレオネは4万5千人に1人、リベリアに至っては、約7万人に1人しか医者がいないという。

 この状態では、初期治療など夢のまた夢だろうし、疲弊した経済状況の中、医療従事者に十分な機材・物資を提供することもままならない。また、国民全体への感染防止の教育・啓蒙も、なかなか行き届きがたい。これが、ポリティカルリスクであるというゆえんだ。

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「エボラ出血熱で考えた新たなリスクへの対応」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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