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「卒業後は借金地獄!」教育費“親任せ主義”で沈みゆく日本

教育こそ国の礎、今こそ未来に投資するという発想を

2014年11月25日(火)

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「政権発足以来、雇用は100万人以上増えた」
「有効求人倍率は、22年ぶりの高水準」
「この春、平均2%以上給料がアップ。過去15年間で最高」

 安倍首相のこれらの文言を聞きながら、数年前に1人の学生から送られてきたメールを読み返していた。

 おかしい。何かおかしいよ。これでいいわけないじゃん――。そんな気持ちで一杯になった。暗澹たる気持ち、っていうのは、こういうのを言うのだろう。

 で、何度もメールを読み返しながら、
「もっと知ってもらいたい。というか、知るべきだ」 と、思った。

 そこで今回は、彼からのメールの一部を取り上げる。

 そして、みなさんにも考えてもらいたい。もちろん私もいつものように、脳内のサルとウサギとタヌキと相談しながら、アレコレ勝手ばかり言う。未熟な意見で、どこまで納得できるものになるかわからない。だから、みなさんにも一緒に考えていただきたいのです。

ジョブズの話を聞いて、大学を辞めようと思った

 では早速、“20歳の学生のリアルな声”をお聞きください。

 「先生が講義でスティーブ・ジョブズを取り上げた時に、僕は大学を辞めようと、決心しました。僕の両親もジョブズと同じで、僕の学費のために生活を切り詰めて、必死で働いていた。なのに、僕はずっとそれを、見て見ないふりをしていました。だって、周りの人たちはみんなお金持ちで、帰国子女もたくさんいて。僕はついていくのに必死だった。でもジョブズのスピーチを聞いて、僕も大学を辞めようと思ったんです」

 「ホントウに辞めて、働こうと思っていました。でも、最後の講義で先生が、傘を貸してもらったときの話をしてくれたでしょ? あれを聞いて、辞めるのやめることにした(笑)。僕が今やるべきなのは退学じゃなく、目の前のことをちゃんとちゃんとやって(これも先生が教えてくれたこと)、大学をちゃんと出て、自立することだと考えるようになったからです。それが傘を貸してくれた親に対して、僕が唯一できることだと今は考えています。僕が奨学金をもらうことに親が反対したのも、両親から僕への傘だったんだと思います」

 「実は、こないだ実家に帰ったら、親が僕が○○大学にいっていること、自慢してるって知りました。前の僕だったら、そんな親を軽蔑したと思う。でも、今はちょっとだけ親孝行できたかなって思えます。父は高卒で、大学を出なきゃダメだっていうのが口癖だったから。それに、『傘を差し出してもらった人に唯一できることは、途中で放り出さないこと』ですよね? だから、とにかく踏ん張ります。先生が言っていたように、めげそうになったら、今の気持ちを何度でも何度でも、思い出すようにします」

 以上です。ちょっとばかりわかりづらいところがあると思うので、補足しておく。

 まず、彼が聴講していた講義では、毎回、講義内容に関連する人物を取り上げている。彼が、「大学を辞めようと決心した」とする回では、スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォードの卒業式で学生に向けたスピーチを紹介した。

 ジョブズは実母が、未婚の大学院生だったため、生まれてすぐに養子に出された。で、養子縁組したとき、実母が唯一出した条件が、「息子を大学に必ず行かせてほしい」ということだった。

コメント90件コメント/レビュー

誰でも彼でも大学に行く必要があるのか。優秀でお金がない学生には奨学金が必要、でも「みんなが行ってるから」程度の気持ちでお金を借りるとその子の未来も大変になると思います。大学卒業=賢い訳ではない。学生が減っているのに、大学は乱立し、何を教えているのか分からない大学も多く、学生がお金をかけて行く価値が無い大学があるのも事実。奨学金制度の前に、高卒より大卒のほうが賢いという企業の考えこそ改めるべき。遊び呆けて使い物にならない大卒よりも高卒の方が伸び白があると思います。(2015/01/06)

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「「卒業後は借金地獄!」教育費“親任せ主義”で沈みゆく日本」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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誰でも彼でも大学に行く必要があるのか。優秀でお金がない学生には奨学金が必要、でも「みんなが行ってるから」程度の気持ちでお金を借りるとその子の未来も大変になると思います。大学卒業=賢い訳ではない。学生が減っているのに、大学は乱立し、何を教えているのか分からない大学も多く、学生がお金をかけて行く価値が無い大学があるのも事実。奨学金制度の前に、高卒より大卒のほうが賢いという企業の考えこそ改めるべき。遊び呆けて使い物にならない大卒よりも高卒の方が伸び白があると思います。(2015/01/06)

筆者の主張する日本の教育への公的予算が不足しているのはその通りであるが、そのためには税収を増やす必要があり、もしそれを避けるのであれば、アメリカ型の自助努力型になるしかない。この議論は、需給と負担という当たり前のようでいて、日本が論理的に考えるのが最も苦手な部分でもある。そもそも、日本の中堅以下の大学を出たところで、就職になんら優位性はなく、そんな大学に国費を投入しても、効果はほとんどないであろう。昨今の有効求人倍率をみる限り、就職市場は売り手市場である。しかし、地方の企業、中小企業は安定性や知名度によって敬遠されており、人で不足が続いている。また、製造業でも現場や、外食産業や営業は人気が低く、ここも人手不足である。猫も杓子も大学という風潮はわからなくはないが、別に高卒でもいくらでも仕事はあるし、目的意識があれば働きながら大学に行ってもよいし、もしそんなもの出たからといっても何のブランドにもならないと考えるのならばやめればよい。もっとはっきりというと、日本の大学の授業の内容にお金を払うとして、特に文系の学部で年間で100万近い学費を払うだけの価値のある大学はいくつあるだろうか?世の大学の教育関係者の世間知らずぶりを目の当たりにするにつけて、市場の洗礼はあまりにも遅すぎたのではないか、、、と思わざるを得ない。最後に、国政選挙に必要な費用と、奨学金に必要な額を単純比較するのは感情面に訴えるには効果的かもしれないが、なんら生産性がない。しかし、筆者の主張通り、この国の教育予算の乏しさ=将来への希望の薄さ と考えると、すべてに合点がいくのだが、当の若者がデモなり投票なりで意思表明をしないのであるから、要は今の社会が居心地がよいのであろう。(2014/12/26)

大学進学率がこのような異常値を示したのはここ20年のことである。これは、バブルで一時的に中間層が底上げされて、私立大学でも大学教育を受けさせることが出来た時期があったと言うことに過ぎない。1980年から2000年までの特殊な時代であった。その時代に大学時代を過ごした年代が、その子供にその時代の生き方をそのまま維持しようとしている。自動車所有にしろ食生活にしろ、バブルを脱却して健全な比率に戻ろうとしている。大学進学にしろ、能力のある者が行く時代に戻ろうとしているのではないでしょうか。民主主義の基盤である選挙費用とライフラインであるダム建設を比較対象にすることは、かつて社会党が防衛費削って学校造れと言った事とと同じであり、復興予算を対象としなかったのは恣意的なアジテーションでしょう。(2014/12/23)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長