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「睡眠3時間、家でも仕事せなあかん?」風呂敷残業世代が生んだ過労死

持ち帰り残業は個人の問題ではなく“職場の問題”

2014年12月2日(火)

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 かわいい手書きのカラフルなイラストとともに書かれた、英単語。
「こんな風に楽しく教えてもらえたら、子どもたちも喜ぶし、教えるほうも楽しいだろうなぁ~」
 素直にそう思った。

 わずか2カ月間で、英語の先生が“子供たちのため”に書いたイラストカードは、2385枚。1枚書くのに、10分ほどかかる。制作期間は、約2カ月だ。

 1時間で6枚しかできないカードを2カ月で作り終えるには、毎日、7時間の作業が必要になる。

 朝11時に出社し、夜の11時に帰宅。そのあと、毎日、毎日、7時間も、“子どもたちのため”にカードを作っていただなんて……、しんどすぎる。

「自分の仕事のできてなさ痛感の一日。あぁぁ自己嫌悪自己嫌悪……でも頑張って生きないとね……」
「最近綱渡りの日々なのです。毎日3時間睡眠ぐらいで戦っている(泣)。しかし準備が思い通り進まんくて悪循環から抜け出せない」
「行きたくないよ。毎日こんなんだ。なんか最近ほんま仕事が終わらんくて、出された課題もこなせんくて、皆さまからどう思われてるんやろって考えると鬱になる日々」
「昨日帰ってからなんか病んでもて仕事手につかんかった。家帰っても全力で仕事せないかんの辛い……でもそうせな終わらへんよな?」

 この最後のメールの2日後、彼女は亡くなった。飛び降り自殺だった。

 先月、金沢労働基準監督署は、2011年に英会話学校講師の女性(当時22)が自殺したのは、自宅で長時間労働する「持ち帰り残業」が原因だったとして、労災認定を下した。

 前述のメールは、彼女が命を絶つ直前に、友人に送ったもの。業務命令で英単語を説明するイラストを描いた「単語カード」を2千枚以上自宅で作るという過酷な作業だけでなく、会社でも彼女を責めたてる“土砂降りのストレス豪雨”が容赦なく、降り注いでいた。

 なんでこんなに自分は、仕事ができないのか? と追い詰められ、
 みんなに迷惑をかけてしまう……、と落ち込み、
 やらなきゃ、でもできなかった、と追い詰められる。

  限界をとっくに超えているのに、本当は苦しいのに、それを苦しみだと認知できない心の複雑な動き。

 誰だって、自分に100%自信を持つことなどできないから。認められたいし、認められることでホッとしたいし、どうにかして自分の存在意義を示したい。そんなズタズタになった自尊心と、やらなきゃいけない仕事と、時間的切迫度。そのどれもが、彼女を苦しめたのだ。

 持ち帰り残業――。サービス残業同様、いや、それ以上に、極めてグレーな“働かせ方”であることは言うまでもない。

 そこで今回は、「持ち帰り残業」について、あれこれ考えてみます。

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「「睡眠3時間、家でも仕事せなあかん?」風呂敷残業世代が生んだ過労死」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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