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韓国人、中国人の大富豪の墓の「意外な発想」

養老孟司×隈研吾 日本人はどう死ぬべきか?  第2回

2014年12月12日(金)

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心臓を別に分けて埋葬するハプスブルク家をはじめ、ヨーロッパで様々な埋葬文化を見てきた養老孟司さん。韓国や香港など、アジアの富豪の墓を広大な敷地に設計した隈研吾さん。それぞれの経験から、今度は「日本人の死生観」に迫ります。

今年5月に養老先生が出版された『身体巡礼』(新潮社)が、世紀の奇書として評判になっています。

:「死後の身体」をめぐって、オーストリア、ドイツ、チェコを回りながらのフィールドワークと論考を、大変面白く読みました。先生がリタイア後に、このあぶないテーマに取り組まれたのは、どうしてだったんですか。

養老:「死んだ人」を後の人がどう扱っているか、という話は一種、永遠のテーマなんですよ。個人的にはどう扱おうと、どうでもいいと思っているんですけど、国によって埋葬の仕方とか弔い方が、実にいろいろある。まあ、面倒くさいから決めているんだろうけど、そこに文化の特徴が出てきているわけです。その観点から見ても、世間の常識って場所によってずいぶん変わってくるんだな、と思う。本の冒頭で取材したハプスブルク家の死者の扱い方なんか、完全に異常だよね。

:異常です。心臓と、他の内臓と、遺体を別々にして、3か所に埋葬するなんて。

心臓を別に分けて埋葬するハプスブルク家

養老:そう、ハプスブルク家では家族の一員が死ぬと、心臓を特別に取り出して銀の心臓入れに収めた。肺、肝臓、胃腸などは銅の容器に、残りの遺体は青銅や錫の棺に入れられた。私から見ても、非常に特異な埋葬儀礼です。

養老孟司(ようろう・たけし)
1937年、鎌倉市生まれ。1962年、東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。1995年より同大名誉教授。著書に『からだの見方』(サントリー学芸賞)『人間科学』『唯脳論』『バカの壁』(毎日出版文化賞)『死の壁』『養老孟司の大言論』『身体巡礼』など、隈研吾との共著に『日本人はどう住まうべきか?』がある。(写真:鈴木愛子、以下同)

:先生はハプスブルク家のルーツは、今でいうスイスの田舎だ、と書いておられました。スイスで思い出したのですが、スイス人は冷蔵庫に、いろいろなものを貯蔵しておくんですよ。僕は「スイスの冷蔵庫文化」と言っているんですけど、冷蔵庫の整理がやたらにいい。それは、冬季に山の中に閉じ込められる風土だから、肉の塊から何からきちんと整理して、それを大事に大事に食べていかねばならない。そういう習慣で生き延びてきた連中だからだと思うんです。その、肉を貯蔵して、時間をかけて食べる冷蔵庫文化と、「ハプスブルク・スイスルーツ説」がつながって、腑に落ちる思いがしました。

養老:へえ。その隈さん言うところの冷蔵庫文化というものが、現在の一般市民の間に受け継がれているのは、面白いですね。

この連載が本になりました。『日本人はどう死ぬべきか?』2014年12月11日発売。解剖学者と建築家の師弟コンビが、ニッポン人の大問題に切り込みます。

:ルーツが牧畜民でしょう。屠った動物の処理に慣れているんですよ。それは、ハプスブルク家の埋葬文化ともつながるんじゃないかと思いました。

養老:備蓄が本能みたいになっているのか。

:スイス人の建築家でベルナール・チュミという人がいます。ニューヨークのコロンビア大学の先生なんですが、彼も自分が過去に作ったものを、取っ換え引っ換え出してくる人なんです。僕はひそかに「冷蔵庫建築家」と名付けていたんですが(笑)。

コメント2件コメント/レビュー

私も妻も親の代で田舎から都会に出てきたために、新たにその墓を作るときは色々と悩みましたね。基本は墓参りしてくれる子孫のために何がいいかを考え、まずは交通の便の良いインターチェンジと駅の近くに定めました。それから、墓石は墓地出入りの業者で規格化されているので、何か特徴あるメッセージを残そうと。今や洋風の墓石は○○家と家名を中心にせず「愛」や「永遠」などの言葉を刻む例が多く、我が家もそれに倣いました。目についたので秀逸なのは「参ってくれて有り難う」と刻んだお墓、ご先祖様たちの愛情を感じるとともに、参る側にもまた来ようという気にさせます。一族意識が稀薄になりつつある現代だからこそ逆に家族のつながりを守ろうとする工夫が凝らされ、最近の墓地は愛に溢れていて楽しいです。(2014/12/12)

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「韓国人、中国人の大富豪の墓の「意外な発想」」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

私も妻も親の代で田舎から都会に出てきたために、新たにその墓を作るときは色々と悩みましたね。基本は墓参りしてくれる子孫のために何がいいかを考え、まずは交通の便の良いインターチェンジと駅の近くに定めました。それから、墓石は墓地出入りの業者で規格化されているので、何か特徴あるメッセージを残そうと。今や洋風の墓石は○○家と家名を中心にせず「愛」や「永遠」などの言葉を刻む例が多く、我が家もそれに倣いました。目についたので秀逸なのは「参ってくれて有り難う」と刻んだお墓、ご先祖様たちの愛情を感じるとともに、参る側にもまた来ようという気にさせます。一族意識が稀薄になりつつある現代だからこそ逆に家族のつながりを守ろうとする工夫が凝らされ、最近の墓地は愛に溢れていて楽しいです。(2014/12/12)

ハプスブルク家の3分割埋葬は、その領土がオーストリア、スペイン、ネーデルランド(今のオランダとベルギー)に大きく3分割されていた時期が長かったからです。(2014/12/12)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長