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テロ、銃撃事件…“抑圧された怒り”を生む自覚なき偏見

“怒りの負の連鎖”を止めるためにすべきこと

2015年2月3日(火)

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 人間がもつ情動の中でもっともエネルギーを秘めた「怒り」。

 その“怒りのエネルギー”が、これほどまで世界中に広がったことって、過去にあったのだろうか? 少なくとも私の記憶にはない。

 米ミズーリ州の白人警察官による黒人少年射殺事件、フランスのシャルリエブド襲撃テロ事件、そして、今回のイスラム国の人質事件――。昨年から立て続けに、憎悪と怒りと暴力の負のエネルギーが世界中に蔓延している。

 メディアで報道される事件だけじゃなく、もっと狭い、自分の半径3メートルの日常世界も、怒りにあふれている。1つひとつは小さな怒りかもしれない。

 だが、あちらこちらに“怒りの芽”が、まるでマグマのように充満している。ちょっとした出来事をきっかけに、巨大なエネルギーが爆発しそうで怖い。怒りが怒りを生むという、負の連鎖……。それが身の回りでも起きている。そう思えてならないのだ。

 余裕がない?
 そうかもしれない。

 格差社会だから?
 それもある。

どうして、みんな怒っているのか

 不安の時代から、怒りの時代へ――。

 なんだかこうやってテキストにするだけで気が滅入るのだが、「なんでこんなにもみんな怒っているのだろう」と漠然と感じるようになったのは、いつからだったのだろう。

 「なんで言われたことしか、できないんだよ!」と、使えない部下に上司は怒り、
「なんで同じ仕事をしてるのに、非正規ってだけで給料安いんだよ!」と、賃金格差に非正規社員は怒り、
「いったいいつになったら、フルメンバーで戦えるわけ?」と、育休・産休社員ばかり押し付けられた女性管理職は怒り、
「なんで制度を使ってるだけなのに、あれこれ言われなきゃならないわけ?」と、ワーキングマザーは怒っている。

 あっちもこっちも、怒りだらけだ。

 「ちょっと大袈裟じゃない?」「テロと身の回りの怒りは、違うでしょ?」

 あまりに感情的な書き出しに、そう思われている方もいることだろう。だが、現に後藤健二さんの事件をきっかけに、日本でも“新たな怒り“が生まれていて、危うい発言をする人たちや、その意見に追従する人たちもいる。この危うい怒りが、新たな怒りを生むような気がして、怖い。

 これだけ多くの企業が海外に拠点を持ち、多くの日本のビジネスマンが外国人と接点を持ち、日本の企業で働く外国人が増えている中で、だ。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「テロ、銃撃事件…“抑圧された怒り”を生む自覚なき偏見」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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