• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「認知症は作られる!?」 介護離職の複雑すぎるリアル

究極のワークライフバランスに取り組む時期が来た

2015年2月24日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 知人が会社を辞めることになった。理由は、介護だ。

「半年前にはこんなことになるなんて、これっぽっちも考えてなかった。半年どころか、3カ月前もです。親の変化は、ある日突然くると同級生から聞いてましたが、自分が当事者にならないと、この大変さって分かりませんね」

 “変化”が起きたのは、半年前のある晩のこと。
 昼間は元気だった父親が「頭が痛い」と、いつもより早くベッドに入った。

 翌日、病院に行くと脳梗塞を起こしていることが判明。ひと月の入院を強いられ、退院したときには介護が必要な状況で、その後は日を追って年老いていったそうだ。

 「このままでは、母もおかしくなる」――。そこで退職を決めたのだと言う。

 実は、この半年間で、私の周りで立て続けに“親の変化”が起こっている。おそらくそういう年回りなのだと思う。80歳前後になった両親、特に父親に変化が起こり、
「お互い、大変だな」
「うん」
 何度、こんな会話を繰り返しただろう。

 そう。実はうちの父にも、“変化”が起きた。

 その一週間前まで、連日ゴルフに行き、「やれ、大学の同窓会だ!」「それ、幼稚園の同窓会だ!(はい、間違いなく幼稚園です)」とバリバリ元気で、「そんなに鍛えて誰に見せるわけ?」と笑ってしまうほど、腹筋・背筋・腕立て伏せをやっていた父に、“変化”が起きた。

 ある日、突然の出来事だった。

 入院とともに体力は著しく低下した。それでも退院後は、鍛えていただけあって肉体的には、驚異的な回復力をみせている。だが、精神面はダメだ。まるで坂道を転げ落ちるように入院中に“変化”し、どうにか瀬戸際で食い止めてはいるものの、一歩進んで三歩くらい下がる。

 「良かった、もう大丈夫!」と安堵する日と、「嗚呼、どうしたらいいんだろう」と途方に暮れる日が入り乱れ、「親の変化と向き合うのは、物理的にも精神的にも容易じゃない」と、心底思う。

 「追い込まれるから必死にやるんでしょうに……」――。以前、私が介護問題について書いたコラムに、こんなコメントをくださった方がいたが、その言葉の重さをつくづく感じている。

 人は実に勝手で、愚かで、ちょっと悲しい存在で、どんなに「介護、介護、介護問題をどうにかしなきゃ!」と問題提起しても、当事者にならない限り、所詮他人事。そのときがきて初めて、出口の見えない孤独な回廊に足がすくむ。

コメント30件コメント/レビュー

母に痴呆の初期症状が突然始まり父がノイローゼ気味になりました。離れて暮らす私は母の痴呆に思い当りましたが父は母が痴呆だと認めません。妻に助けを請い二人で実家に駆けつけ、役場と医師に相談し母の診断と認定を得、まず父の回復の為に二人を言いくるめて母だけを自宅に連れ帰りました。河合さんのお話の中の「後悔したくなかった」とおっしゃっている方のお気持ちが理解できる気がします。母の痴呆に気付いた時、私はSF作家のロバートAハインラインが小説の中で述べた言葉を想いだしていました。「人が人に答えてやれないことが一つだけある。それは当人の義務にかかわる問題だ。それだけは自分で決めないといけない。」という事だったと思います。妻と子供に頭を下げて協力を仰ぎ、上司に長期休暇を請い、郷里では母が迷惑をかけていた警察、銀行、郵便局とご近所に父母の迷惑を詫び、母の写真を預け今後の助力をお願いして歩きました。その後父も含め17年になりましたが著名な小説家の言葉で覚悟が決まり気持ちが負に向かうのを少なくしてくれたと思っています。妻にも周囲の方達にも感謝しております。(2015/03/01)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「「認知症は作られる!?」 介護離職の複雑すぎるリアル」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

母に痴呆の初期症状が突然始まり父がノイローゼ気味になりました。離れて暮らす私は母の痴呆に思い当りましたが父は母が痴呆だと認めません。妻に助けを請い二人で実家に駆けつけ、役場と医師に相談し母の診断と認定を得、まず父の回復の為に二人を言いくるめて母だけを自宅に連れ帰りました。河合さんのお話の中の「後悔したくなかった」とおっしゃっている方のお気持ちが理解できる気がします。母の痴呆に気付いた時、私はSF作家のロバートAハインラインが小説の中で述べた言葉を想いだしていました。「人が人に答えてやれないことが一つだけある。それは当人の義務にかかわる問題だ。それだけは自分で決めないといけない。」という事だったと思います。妻と子供に頭を下げて協力を仰ぎ、上司に長期休暇を請い、郷里では母が迷惑をかけていた警察、銀行、郵便局とご近所に父母の迷惑を詫び、母の写真を預け今後の助力をお願いして歩きました。その後父も含め17年になりましたが著名な小説家の言葉で覚悟が決まり気持ちが負に向かうのを少なくしてくれたと思っています。妻にも周囲の方達にも感謝しております。(2015/03/01)

1ヶ月程、骨折で父が入院しました。病院側では、「静かにさせたい」患者(父)へ眠くなる薬を処方されました。その結果、ごく普通に会話できていた父が、話しかけてもボーっとしている状態に変わりました。たった1ヶ月ですが、寝たきり+鎮静薬の効果は人格を破壊するように思います。事の発端は、同室患者が夜中に騒ぐ事で、父が苦情を言ったからという事です。ボケさせないために、こうした事を考える必要があると思います。(2015/02/27)

認知症の義父母を見送り、実母は認知症で特養に入っています。ここまでの苦労は筆舌に尽くしがたい(小さい子供二人抱えてフルタイム勤務)ですが、仕事だけはやめちゃいかん!(2015/02/25)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長