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「SOSを出せない子供」とシングルマザーの悲しい関係

“自立”だけにこだわる貧困対策には限界がある

2015年3月17日(火)

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 川崎市の多摩川河川敷で起きた残忍な事件。殺害された中学1年の上村遼太君(13)の母親が出したコメントが話題になっている。以下に一部を載せる(全文はこちら)。


 「中学校1年生で、まだまだあどけなく、甘えてくることもありましたが、仕事が忙しかった私に代わって、進んで下の兄弟たちの面倒を見てくれました。

 遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか十分に把握することができていませんでした。

 家の中ではいたって元気であったため、私も学校に行かない理由を十分な時間をとって話し合うことができませんでした。

 今思えば、遼太は、私や家族に心配や迷惑をかけまいと、必死に平静を装っていたのだと思います」――。

 このコメントが出された背景には、事件直後から母親に厳しい目が向けられたことがあったのだと個人的には考えている。

「母親はちょっと無責任なんじゃない?」
「顔にアザをつくっているのに、放っておくってどうなの?」
「学校に行ってなくて、先生も訪問にきたっていうのにおかしくない?」
「ネグレクト。ネグレクトでしょ?」
といったコメントがネットで飛び交い、著名な識者までもが週刊誌のコラムで母親を叱りつけた。

 何か起きる度に憎むべき対象を見つけ“場外”から石を投げる。お決まりの構図だ。

 そうやって責め立てていた人たちが、母親の“ナマの声”が出た途端、手の平を返す。

 「これがシングルマザーの実態なんですよね~」

 眉間にシワを寄せたワイドショーのキャスターたちが、「なんて気の毒なんだろう?」と上から目線で深いため息をつき、画面にはモザイクをかけられたシングルマザーが映し出される。彼女たちの多忙すぎる日常と、それを支える子供の健気さをまるでドラマのように描き、夜遅くに帰宅した母親とわずかな食費で工夫して作られた晩ご飯を「美味しいね」と笑顔で食べる母子に同情を煽る。

 で、再び似たような事件が起きると、

「二度とこういうことが起きないように」
「周りのオトナたちは、子供のサインにもっと気づかなくては」
「学校と地域が協力して、何とかする制度を作らなければ」

と、“ごもっとも”なご意見ばかりを繰り返す。

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「「SOSを出せない子供」とシングルマザーの悲しい関係」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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