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国は自己破産できるのか

国際社会が議論・整備を進めてきた救済の仕組み

2015年3月23日(月)

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 最近、ギリシャの債務問題がまた騒がしくなってきた。筆者は2014年9月、当時勤務していた国際通貨基金(IMF)を退職し大学に移ったが、債務問題というと4年前の2011年3月11日を思い出す。

 IMF勤務でワシントンDCにいて、主にヨーロッパ諸国の問題に関し、IMF内部で議論しつつ、著者の発言できる範囲内で国家債務削減に関する経済学的な考え方と現実の政策に関する議論のまとめを、日経ビジネスに著者の見解として寄稿しようとしていた。

 しかしながらこの国家債務に関する原稿に関しては、既にゲラも出来上がっていた段階で「テーマがこのタイミングではセンシティブである」という結論になり、IMFの広報室から原稿を撤回するよう指示されてしまった。3月11日の東日本大震災で大変な中、急遽原稿を別のテーマに差し替えることになり、編集部に多大なご迷惑をおかけしたことをよく覚えている。

 今回、IMFを退職し半年たち、また当時議論していた方向で現実の政策も進んできていることから、当時進められていた議論(私のコンピューターで眠っていた最終稿は2011年3月10日付)を再びここで発表したい。

 なお、当時の最終稿で、紙面の制約で(当時はオンラインでなく紙媒体であった)削っていた、導入部も加えた。また、当時の原稿で説明が分かりにくいと思われるところには多少手を入れてある。では、以下が当時の議論である。

破産という制度の考え方

 破産がもし当人の努力によって必ず避けられるべきものであれば、破産者に徹底的に制裁を加えることで、その努力を引き出せばよい。しかしながら、天災などによる資産の消失など、抗しがたい悪状況によって借金が返せなくなることもある。

 破産とは、そのような場合に、債務返済を停止し生活を守るという意味で意義のある一種の保険制度である。とはいえ、抗しがたい状況のため破産せざるを得なくなった場合と、自身が向こう見ずな投資や消費をして破産した場合との区別をつけるのが難しいため、破産者には一定の生活水準の低下を受け入れてもらうことが常である。それにより、自ら破産を引き起こすことをできるだけ少なくするという知恵が、各国の破産制度に反映されている。

 では、破産者の生活水準はどの程度低下すべきか? 歴史的には、どの国も債権者保護から債務者保護にだんだんと軸足を移してきた。日本でも昔は、「借金のかたに娘をもらう」というようなひどい制裁があり、米国でも19世紀中頃までは破産者は刑務所送りだった。

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「国は自己破産できるのか」の著者

植田 健一

植田 健一(うえだ・けんいち)

東京大学経済学部准教授

米シカゴ大学経済学博士(Ph.D)。1991年東京大学経済学部を卒業。大蔵省(現財務省)国際金融局、国際通貨基金(IMF)シニアエコノミストを経て、2014年9月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師