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日本酒のグローバルブランド化の死角

海外展開の加速に欠かせない2つの取り組み

2015年4月6日(月)

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 食の雑誌「Dancyu」の2015年2月号、3月号は、2カ月続けての日本酒特集だった。

 2月号の特集の中心は、「生酛(きもと)」だ。かなりマニアックな話なのだが、日本酒造りの最初の工程、すなわち酵母を含む酒母造りの段階で、江戸期以来の伝統的な手法である「生酛造り」を選ぶ蔵と酒が増えてきている。この手法と「生酛造り」で造られた日本酒についてが、特集記事になっていたのだ(ちなみに、「生酛」以外には、「速醸」と「山廃」という手法がある)。

 純米か、それ以外か。あるいは大吟醸、吟醸、本醸造のどれか。従来からの区分けに加えて、造りの違いによる日本酒のバラエティーはさらに豊かさを増してきているということだろう。

 「生酛」が伝統的手法だからだろうか、この2月号は「日本酒クラシック」と題されていた。

 一方、3月号は「日本酒ロックス」と題して、新世代の日本酒について。

 特集の中で、目立つ位置を占めていたのは、アルコール度15度未満の日本酒の紹介だ。ご承知のように、我々が普段いただく日本酒はアルコール度16~18度のものが多い(日本酒は、醸造方法上の特徴から、ほかの醸造酒と比較すると、アルコール度が高く出来上がってくる。実際には醸造後、加水して16~18度に下げている例も少なくない)。

 同じ食中酒でも、14度前後のものが多いワインに比べてやや高めなのだ。一部の国では、15度以上の酒について、高めの税を課しており、このことが、日本酒を輸出する際のボトルネックにもなっていたりする。

 今回のDancyu誌の特集では、「やや低めのアルコール度で仕上げても、薄まらず、美味しく飲める新世代の日本酒たち」というトーンで、様々な日本酒が取り上げられていた。最近の日本産ワインや海外産も含めたビオ(有機)ワインにも共通する傾向の一つだが、飲み疲れない、という方向性で、ハレだけではなくケにも即した食中酒が増加してきているようである。

ワインと同様に造り手ごとの個性を楽しむ時代に

 振り返って考えると、日本酒の場合、こういった造り方のバラエティーだけでなく、様々な温度でお燗をつけることで、味わいが変化する。これに着目し、とびきりの熱燗から冷酒まで、いろいろな飲み方のバラエティーを提案する飲食店も増えてきている。

 先日も、詳しい方に連れて行っていただいた四谷のお店で、「お燗番」という名刺を持つ若い女性が、同じお酒を異なった燗づけで飲ませてくれたのだが、その味わいの違い、料理との相性の違いには驚かされた。

 大げさに言えば、お燗、という独特の飲酒文化が、温度帯別・酒質別・合わせる食べ物別に、ふさわしい楽しみ方を極めるという流れに昇華されつつある、ということだろうか。

 「十四代」、あるいは「神亀」、といった味の個性が際立った蔵がどんどん増えてきており、日本酒は、ブルゴーニュワイン同様の造り手ごとの個性を楽しむ時代に入ってきている。ちなみにブルゴーニュのドメーヌと呼ばれる、自社栽培のブドウを自社で醸造する造り手同様、酒造米の栽培にも深く関わり、蔵のある場所ならではの米・水・酵母の組み合わせにこだわる日本酒の蔵も出てきた。これは一つのトレンドになるかもしれない。

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「日本酒のグローバルブランド化の死角」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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