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キャッシュリッチ企業が減らない真因

期待されるリスクを定量化する手法の確立

2015年5月11日(月)

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 様々なリスクと企業経営について考える機会が多いのだが、最近気になっている「誤解」がある。それは、「リスクは減らした方がよい」という誤解だ。

 防災や金融危機対応という例を念頭において、「リスクは減らした方が良いに決まっている」と考えるのは自然だろう。

 しかし、世の中は、「ノーリスク、ノーゲイン」。自分がマネージ可能な範囲でリスクテイクをしないと、得られないものがある。企業の場合だと、リスクは取り過ぎも、取らなさ過ぎも、どちらもダメ。取り過ぎで、企業の存続を脅かすことになるのも問題だが、取らなさ過ぎて、価値を創り出す機会を逸し続けるのも、また大問題なのだ。

 こう書いてみると、「それは当たり前だろう」という声が聞こえてきそうだが、現実には、適正量のリスクを取るということは、簡単ではない。世の中には、過剰なリスクテイクをしてしまう企業があるのと同時に、極端なリスクアバース企業があまたある。

リスクアバースの裏にある論理的帰結

 極端にリスクを避けているように見えてしまうのは、それなりの理由があるからだ。

 昨今、マクロ経済を語る中で、企業がキャッシュをため込み、必要な投資を行わないことが、経済成長の足かせになっている、という論調が目立つ。実際に上場企業のバランスシート上のネットキャッシュ(現預金から有利子負債を差し引いたもの)、あるいは資本準備金はものすごい額になっている。

 しかし、これは多くの企業経営者にとって、2つの原因からの論理的帰結であることが多い。

 第1に、日本国内での魅力的な投資機会の減少。失われた20年は言うに及ばず、かなり経済状況が改善してきた現在でも、人口減少とそれに伴う需要の減少、さらには国家財政が危機に瀕する可能性を考えると、「日本で積極的に投資を行うこと自体が将来リスクを抱え込むことになる」と考える経営者はかなりの数に上るだろう。

 第2に、米国一極集中から多極化への途上での地政学リスクなどの増加。「世界の警察官」がその役割を果たしきれなくなってきた状況下で、地域紛争の発生可能性は高まり、また中東の過激派「イスラム国」(IS)に代表されるような非国家組織が武装し、かなりの軍事力を持つ例も増えてきている。

 こういったリスクの増加は、結果的にグローバルな設備投資やM&A(合併・買収)といったリスクテイクへの期待リターンを高めることになる。地政学リスクなどがない場合の事業そのもののリスクに比べて、リスクの総量が増える、すなわち、その事業のためにリスクを取る決断が正当化されるリターンのレベルがより高くなる、ということになるからだ。

 これは、言い換えれば、魅力的なリスクリターンを上げ得る案件が従来より少なくなるということになる。

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「キャッシュリッチ企業が減らない真因」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師