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第1章 石油街道 (2)

2006年4月10日(月)

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 翌朝午前5時40分。金沢らは予定通りホテルのロビーに集合した。

 別の便で前日に東京から到着していた法務部と資材部の社員が合流し、一行は5人のグループになった。

 ホテルの前に2台の大型車が停まっていた。

 シボレーの「サバーバン」という頑丈なオフロード車。全長5.6メートル、全高1.9メートル。V型8気筒エンジンの排気量は5700cc。鋼鉄の怪物である。座席は大型旅客機のビジネス・クラスのように広い。

 車は地元の運輸会社のものである。1990年の湾岸戦争後、イラクに行く唯一の手段がヨルダンからの陸路となったので、ヨルダン国内に運輸会社が雨後の筍のように作られていた。

 全員が1台に乗ることも可能だが、途中で1台が駄目になったとき乗り捨てられるよう、一行は2台に分乗した。金沢は高塚、資材部の若手と一緒の車になった。

 運転手はイブラヒムというヨルダン人の中年男だった。黒い髪に日焼けした茶色い肌。黒い口髭をたくわえ、薄茶色の眼鏡をかけていた。がっしりした身体に茶色い半袖シャツ、灰色のスラックス。

 「この人、年(とし)いくつくらいですかね?」
 金沢は隣りにすわった高塚に運転席のイブラヒムの背中を目線で示し、小声で訊いた。

 「一見50歳すぎだけど、アラブ人は老けて見えるからなあ」
 高塚は小首をかしげる。

 「まさか30代ってことは……」
 「そりゃいくらなんでも」高塚が苦笑した。

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「第1章 石油街道 (2)」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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