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地元の職のライバルは海外の労働者

保険で備えるグローバル化の賃金リスク

  • ロバート・シラー

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2006年4月11日(火)

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 グローバル化と情報技術(IT)の発展が原因で、我々の賃金や家計が脅かされるという新しいリスクが近頃、世間の注目と憂慮の的となっている。にもかかわらず、こうしたリスクに立ち向かっていくための新しい構想について、建設的な議論がなされているとはとうてい言い難い。

 事実、こうした構想のいずれかが実行されたとして、効果的だったのは数年前のことであり、現在は、当時ほどの勢いは失われた、と言えるかもしれない。

世界で注目された「賃金保険」

 確かに、中年を過ぎて、コンピューターやロボットにではないにしろ、外国の低賃金労働者に突然仕事を奪われてしまった人々に対しては今でも同情を禁じ得ない。しかし我々はこうした、他国の人々に仕事を奪われるリスクに対して、本当に何か手段を講じようとしているのだろうか。

 数年前に魅力的に思われた新しい構想の1つが、「賃金保険」だ。その名の通り、その発想はシンプルだ。失業後、以前と同じ賃金で新しい仕事を見つけられないリスクから、政府が守ってくれるのである。政府の保険制度により、失業前の賃金と再就職後の賃金の差額の一部、例えば半分程度が、2年間などの期限付きで補填されるのだ。

 賃金保険のアイデアは、1986年にロバート・ローレンスとロバート・ライタンが共著『Saving Free Trade(自由貿易を救う)』の中で初めて提唱した。その後2001年に、ライタンとロリ・クレッツァーによる論文が出て、再び脚光を浴びた。

 賃金保険制度は各国の関心を呼び、米国では2002年に試験的に導入され、ドイツでも2002年に首相の諮問機関「ハルツ委員会」が同様の構想を提言した。また英国やフランス、スイス、アイルランドといった国々でも、活発に議論され、実際に何らかの形で導入されている。

職業訓練プログラムより有効な可能性も

 しかし、あらゆる有識者から絶賛されたにもかかわらず、賃金保険制度は世界経済の中で主力にはなっていない。本来は主力であるべきだが、別の「道具」で補完される必要があるのだ。

 賃金保険の利点の1つが、従来の公的な職業訓練プログラムより効果的な、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(実地訓練)のための公的補助制度となるかもしれない点である。公的な職業訓練を修了した者が、思った通りの高賃金の仕事を見つけられないというのはよくあることだ。

 職業訓練は、やってほしい仕事があり、「労働者が何を学ぶべきか分かっている雇用主によって行われた方がずっといい」、と賃金保険推進派は主張する。2年間というのは、政府の援助なしで高給が見込める再訓練期間としては、適当であると思われる。

 しかし、この制度を悪用する人がたくさん出てきて、賃金保険の経費が膨張するのを恐れている各国政府は、この制度を本格的に導入するのに尻込みしている。例えば、米国の賃金保険制度は、50歳以上の製造業労働者で、しかも競争力の弱い産業に従事していて、譲渡不可な技術を持っていると労働省に認定された者のみに限定されている。

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