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第1章 石油街道 (4)

2006年4月24日(月)

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 「『石油の一滴は血の一滴』? ……今どきそんなこという人いるんですか? そりゃ、化石ですな!」

 黒い硬質プラスチックのディーリング・フォンを耳に当てたまま、秋月修二(あきづきしゅうじ)は嗤った。真ん丸いフレームの眼鏡の下の両目が野生の肉色獣のような光を帯びていた。

 「第1次石油危機からもう4分の1世紀です。その間に石油の性格は激変してますよ」

 目の前のデスクには、コンピューター・スクリーンが3つ。色とりどりの数字やチャートが刻々と変化し、エネルギー・デリバティブや石油市場の動きを伝えている。「アクセス」と呼ばれるNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所=世界最大の原油と石油製品の先物市場)の夜間取引(ナイト・マーケット)のページや、プラッツ(Platts=米国マグロウヒル・グループのエネルギー商品市況情報会社)のページである。

 手元には、電卓や英文のマーケット・レポート。スクリーンの横に招き猫の置物。その下に街で買った宝くじが5枚ほど挟み込んである。

 「今やVLCC(超大型タンカー)で世界中から低コストで原油が運べるようになって、油田なんか持っていなくても、いくらでもマーケットから買えますからねえ」
 話しながら、秋月は黒い革の背もたれが付いた椅子をくるりと回転させた。
 次の瞬間、視界がぱっと開ける。

 マラッカ海峡の青い水平線一杯にちりばめた金平糖のように、赤、青、黒、白など、大小さまざまな貨物船やタンカーが百隻くらい浮かんでいた。中東原油がアジア市場へと運ばれて行く「石油街道」だ。

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「第1章 石油街道 (4)」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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