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雇用と賃金で見れば、米国景気は底堅い

  • 勝藤 史郎

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2006年5月23日(火)

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 米国で雇用の逼迫が指摘されて久しい。現在失業率は4.7%まで下がり、米国の自然失業率(完全雇用でもなお存在する失業率、議会予算局試算)とされる5.2%を下回っている。

   米連邦準備理事会(FRB)が潜在的インフレ懸念要因の1つとして労働・設備などの「資源利用率の上昇」を挙げている。また、雇用統計を見ると、「時間当たり賃金」が上昇を続けている。こうした雇用や賃金の動向は、今後の米国経済にプラスに作用するのだろうか、それともマイナスなのだろうか。今回は雇用や賃金と米国景気の関係について見ていきたい。

予想以上の経済の強さ、支えているのは雇用増

 米国景気は、原油高・ハリケーン・政策金利の引き上げなど、数々の逆風にもかかわらず、底堅い成長を続けてきた。景気失速の警鐘が幾度か鳴らされたが、その都度、市場の予想を上回る成長を持続させてきた。その大きな要因の1つは雇用の拡大にある。

 雇用が拡大すれば、給与収入などを通じた米国全体の個人所得が増加する。エネルギーなど物価が上昇しても、それをカバーするだけの購買力が生み出されれば、景気は失速せずに済む。その点、米国の場合、潜在労働力人口が毎年ほぼ1.2%のペースで増加している(米国議会予算局)。

 言い換えれば、失業率を一定と仮定した場合、労働人口の増加だけで毎年1.2%増の購買力が確保されているわけである。エネルギー価格上昇にもかかわらず米国経済が失速せず、むしろ予想を上回る成長を続けてきた背景には、こうした要因がある。

 下のグラフは、米労働省の雇用統計の数値を用いて、国民の購買力推移を表したものである。購買力を「労働投入量(雇用者数と労働時間の積)」と、「実質賃金(時間当たり賃金-消費者物価指数)」に分けることで、米国の購買力拡大の状況が分かる。グラフによれば、2003年以降、雇用を通じた購買力は継続的に上昇しており、その多くは労働投入量増(そのほとんどは雇用者数の増加)によるものであることが分かる。

米国個人消費と個人資産

名目賃金は上昇しているが、実質賃金はまだマイナス

 一方、賃金の動向を見ると、「失業率が低下すれば賃金が上昇する」という、いわゆるフィリップス曲線の理論通り、失業率の低下とともに、時間当たり名目賃金は上昇している。ただ、留意すべきは、物価上昇を勘案した実質賃金の上昇率は2004年以降マイナスのままという点だ。今年に入って、時間当たりの名目賃金が3%台後半(前年比)の伸びを見せるようになり、ようやく実質賃金も上昇に転じる気配だが、いずれにせよ、この程度ならば、インフレ要因というよりも、インフレに追いついていない状況である。

 経営者の立場からは労働力確保が困難になった場合でも賃金引き上げは最後の手段とするのが普通で、一般に賃金上昇は雇用拡大や景気に遅行する。最近の例では、雇用者数の伸びがピークに達した時に実質賃金上昇率が底を打って上昇し始めるケースが多い。

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