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第3章 イラン巨大油田(4)

2006年6月12日(月)

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 十文字と亀岡が新宿のホテルで密談をした日の晩――

 「チャイナ・エイビエーション・オイル(中国航空油料)の益々の発展を祈って」

 イタリア製のグリーンの半袖シャツ姿の秋月修二がシャンペングラスを掲げた。

 ゴールドスミス・ブラザーズの同僚や中国航空油料のトレーダーたちが、ワインやシャンペングラスを掲げる。

 「サンキュー。サンキュー、エブリバディ」

 ラコステのポロシャツ姿のチェン・ジウリンが、やや上気した顔でグラスを掲げた。禿げ上がった額に太目の身体。中国航空油料の37歳のCEOである。

 目の前のプールは青々とした水を湛え、水中からの照明で青い宝石のように輝いている。プールサイドでは、シンガポール人のメイドたちが、バーベキューの準備を始めたところ。

 陽はかなり傾いたが、赤道直下のシンガポールの気温はまだ27~28度ある。風がようやく涼しくなってきたところだ。

 「チェン、今日は来てくれて有難う。みんなも喜んでるよ」
 秋月がジウリンにファーストネームで呼びかけた。

 「こちらこそ光栄だ。……それにしてもあんたの家は、驚くべき豪邸だな」

 秋月の自宅は、シンガポール中心部を東西に走るオーチャード・ロードから歩いて数分の場所にある。都心とは思えない静かな場所で、塀の向こうに椰子の木やシャングリラ・ホテルの大きな建物が見える。

 「ゴールドスミス・ブラザーズっていうのは、そんなに給料がいいのか?」

 「まあ、100万ドル、200万ドルの年棒は当たり前だね」

 それを聞いてジウリンは嘆息した。自分が中国で得ていた年収は4万6000元(約64万円)である。

 「あなたの会社も実績主義なんだろ?」

 「ああ……まあそうだな」

 ジウリンの返事は歯切れが悪い。現地採用のトレーダーなどは、欧米型の実績主義の年俸制だが、ジウリン自身の給与は親会社の手前もあってそれほど高くない。

 「今年は目標を達成したわけだし、CEOのあなたの給料も実績に応じてどんどん上げるべきじゃないか」

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「第3章 イラン巨大油田(4)」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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