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世界同時株安の犯人は誰か?

  • ロバート・シラー

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2006年7月4日(火)

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 世界の多くの株式市場で、5月10日あたりから急激な下落が続いている。ほとんどの急落が5月23日前後までの2週間に集中しているが、その後も株安傾向は続いている。世界の株式市場のトラブルは、世界経済のトラブルを意味しているのだろうか?

 最も下げ幅の大きい国を見てみよう。各国の主要株価指数のうち、最大の下落を記録したのはインド。5月10~22日で、株価は16.9%下落した。地球の反対側で起きた暴落も、これとほぼ同じくらいの下落率で、時期もインドと1~2日しか違わない。アルゼンチンは16.1%、ブラジルは14.7%、メキシコが13.8%下がった。

 欧州市場もまた大幅下落に見舞われた。スウェーデンは5月9~22日に15.2%下落、ほぼ同じ期間にドイツは9.7%、フランスと英国が9.4%、イタリアで9.3%下がった。アジア株も同様で、韓国で11.5%、香港9.3%、日本8%と、ほぼ同時期にそれぞれ最高値から底値に下落した。

中国も米国も株安の「原因」ではない

 こうした世界同時株安を米国の動きに結びつけようとする向きが多いが、米国株は5月9~24日にわずか5.2%しか下げていない。また、中国も世界的株安の背後にいるとは思われない。実際のところ、中国株は同じ時期に上昇した。

 標準的なエコノミストの解説は、金融政策を軸に語られる。2003年のデフレ懸念を受け、各国の中央銀行金利を下げ、株式市場や住宅市場に投機ブームをもたらした。この見方からすれば、現在、利上げによる金融引き締めが始まっており、一層の資産価値下落が予想されるということになる。

 確かにこの議論には、重要な真実が含まれている。事実、米連邦準備理事会(FRB)は5月10日に利上げを実施、その際にベン・バーナンキFRB議長は利上げ継続の可能性を示唆した。5月17日に発表された、米国のインフレに関する数字が悪化したことも、一層の金融引き締めが待ち構えていることを示している。

 エコノミストというのは、世の中の事象を論理的で管理しやすいものととらえたがる性質の人々で、起こっていることをすべて理解していると思っている。エコノミストのこうした性質は、中央銀行の役割を過大視しがちにさせる。

 実際、今回の米国の利上げは16回連続で引き上げられてきた、一連の金融引き締め策のたった1回に過ぎない。5月に始まった株安以降、6月7~8日まで、利上げに踏み切った中央銀行はほかにはない。この2日間に、欧州中央銀行(ECB)とインド、韓国、南アフリカ、タイ、トルコが利上げした。

原油価格もまた犯人ではない

 もう1つの要因は、3月22日~5月2日に24%上昇し、史上最高値を記録した原油価格である。確かにこれは大事件で、世界中の株式市場に影響を与えるというのはもっともらしく聞こえる。原油価格の高騰は、第2次大戦以降に起こったすべての景気後退で、事実上の犯人だった。

 だが、原油価格の上昇は各国の株価指数が最も急落した5月中旬の時期と一致しない。世界の株価下落が、原油価格の高騰によって起きたと論ずるのは、数週間の時間差を前提としている。

 しかし、株式市場というのは全く論理的でなく、原油価格上昇ショックへの反応が遅れることはままあることだ。金融市場では、どんなものでも相場の上昇は注意を引く。原油が急上昇すれば、人々はそれに関するニュースを耳にし、話題にもする。従って、このニュースに過敏になる。

 中東危機は原油価格に密接に関係しており、5月はそのニュースで持ちきりだった。不吉な兆候と、中東の指導者たちの激しい言動が、ことによると原油価格上昇によって投資家の心の中で増幅されたかもしれない。5月8日、イスラエルのシモン・ペレス副首相は、イランのマフード・アハマディネジャド大統領の敵対発言を受けて、「イラン大統領はイランこそ地図から抹消されるかもしれないことを肝に銘じるべきだ」と警告した。

バーナンキ議長だけでなくイラン大統領を見よ

 同様に、5月の株価下落が始まる間際、アハマディネジャド大統領は世界で最もイスラム教徒が多く暮らすインドネシアを訪問した。報道によると、大統領は5月13日に、同国の一流大学2校で学生たちから総立ちの拍手喝采を浴びたという。このニュースが、アハマディネジャド大統領の核問題での瀬戸際外交が政治的に良い結果を生んでいる証拠と解釈されたかもしれない。このため、中東情勢の緊迫が一層の原油高騰につながるという認識を煽ったのである。

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