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広がりを見せる「円キャリートレード」

運用の担い手はヘッジファンドだけではない

  • 本多 秀俊

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2006年9月21日(木)

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 今年5月、米利上げ継続見通しの高まりに伴う投資意欲の後退、日銀によるゼロ金利解除予想などを背景に一気に収縮したと観測された「円キャリートレード」が、この夏場以降、再燃の兆しを強めている。もともと夏場は、市場参加者の減少で市場の方向感が鈍ることから、高金利通貨に資金が滞留する傾向が強い。

 この間、米連邦公開市場委員会(FOMC)が8月に利上げを見送り、また日本の追加利上げ見通しも国内総生産(GDP)や消費者物価が予想外に伸び悩んだのを背景に大幅に後退し、市場環境も大きく変容してきた。また8月末には、為替相場で円が対ユーロでの安値の心理的なポイントと見られた150円を史上初めて割り込んだことなど大きな関心を集めた。円ユーロ相場は今年に入り130円後半から140円台を推移していた。

 円は代表的な「運用通貨」であるオーストラリアドル、ニュージーランドドル、トルコリラ、メキシコペソなどに対しても、5~6月に進行した買い戻し基調から天井を打って反落、足元は続落基調を強めている。

機関投資家だけではない「キャリートレード」の担い手

 キャリートレードとは教科書的には、「金利の低い通貨で借り入れ調達した資金を、外国為替市場で金利の高いほかの通貨に交換し、その高金利で運用して金利差収入を狙う取引」である。運用の主役はヘッジファンドや銀行のような金融機関だ。

   この教科書的なキャリートレード以外にも、低金利調達や高金利運用のメリットを活用し、低金利通貨の高騰及び高金利通貨の下落という為替変動リスクを帯びるという経済効果に着目し、ほかにも実質的にキャリートレードと分類できる経済行為が浮かび上がってくる。

   それは1)低金利通貨建ての資産を持つ人が、そのまま低金利で運用するよりも、低金利通貨を売り、高金利通貨を買って高金利で運用する、2)高金利通貨建ての負債を持つ人が、そのまま高金利通貨で資金調達する代わりに、低金利通貨で資金を借り入れ、高金利通貨に交換して負債を手当てしたりする――といった方法だ。

1%の変動でも日本の貿易黒字の約2.3カ月相当

 こうした広義のキャリートレードを視野に入れると、例えば、日本人の個人投資家が手持ちの資産を超低金利の円で運用するのに飽き足らず、外貨預金をしたり外貨建ての売り出し債(ユーロ市場で発行される本邦個人向け債券)を購入したり、あるいは外貨建ての投資信託を購入したりするのも、上述1)のキャリートレードに該当することになる。

   グラフは、日銀が四半期ごとに発表する「資金循環統計」を基に、1500兆円に達したと言われる日本の家計資産に占める、外貨建て資産の推移を表したものだ。これを見ると、「家計=個人資産」が近年、外貨建て投資信託の購入を中心に、外貨建て資産の保有額を増やしているだけでなく、資産全体に占める外貨運用の比率も、わずかだが着実に増加させている傾向がはっきりと分かる。直近の数字で、家計資産に占める外貨運用の比率は2.3% に過ぎないが、それでも分母が1500兆円という気の遠くなるような巨額の数字であるために、その変化は円相場にも大きな影響を及ぼすことになる。

 家計資産の国外流出が、円相場に及ぼす影響について、もう少し分析してみたい。結論から言うならば、この傾向が続く限り、相場が本格的に円高に振れる可能性はほとんど考えられない。上述したように、本邦家計資産は1500兆円というケタ外れの規模である。外貨建て資産が僅か0.1%増加しただけで1.5兆円相当の外貨買いになる。

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