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円を追い越したポンド

-英経済躍進の秘訣

  • 本多 秀俊

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2006年11月15日(水)

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 今年9月、国際通貨基金(IMF)の公表したデータが、通貨市場参加者の間でちょっとした話題に上った。今年3月の時点で、世界各国の通貨当局が保有する外貨準備の中で英ポンドの占める割合が、日本円のそれを逆転、米ドル、ユーロに続く第3位の地位に躍り出た事実を明らかにしたのだ。

 外貨準備と言えば、予期せぬ衝撃によって自国の貿易決済、外貨建て債務の返済などに滞りが生じた場合に備え、文字通り当局が「準備」しておく資金であると同時に、各国がその保有資産の価値を「保全」するための資金でもある。その資金に占めるポンドの比率が上昇している事実は、「国際通貨」としてのポンドの地位向上を物語るにほかならない。

 ただし、第3位と言っても、ドル(約65%)、ユーロ(約25%)のシェアに比べれば、ポンドも円もそのシェアはわずかに4%前後で、ポンドと円の競争などは、まさしく「どんぐりの背比べ」と言える。しかし、足元5年あまり、通貨市場におけるポンドの堅調は鮮明で、対円のみならず、対ドル、対ユーロでも明確な上昇基調にある。本稿では、ポンドが国際的な信用を集め、国際通貨としての地位を高めてきた事実を着眼点に、その背景にある英経済の強さの秘訣について検証を試みる。

英経済、強さの秘訣

 英ポンドの強さの秘訣を探る時、必ず目にするのは「高成長」「高金利」という単語だろう。実際、BRIC's(ブラジル、ロシア、インド、中国)などと呼ばれる新興市場を除く主要経済の中で、英国は相対的に高めの成長率、金利を維持してきている。しかし、ポンド上昇の要因として「高成長」「高金利」を真っ先に挙げるのは、いささか短慮に過ぎるのではないかと思われる。

 実際に、主要国の成長率、長短金利を比較すると、確かに、近年英の成長率は安定的に高水準を維持しているが、英国の成長率が突出しているわけでもない。金利についても、超低金利の続く日本は別として、特に米国、ユーロ圏が利上げサイクルに突入して以降、英国の高金利が決定的な差を生み出しているとは言い難い。

 むしろ英経済の強みを表現する場合、安定成長、安定的な金融政策など、「安定」という単語を用いる方が当を得ている。では、英経済の「安定」は何がもたらしたのだろうか。1つには、住宅市場の好況が挙げられる。英住宅価格は、一時、前年比+20%を超える急上昇を示し、バブルが警戒されたりした時期もあったが、過去10年近く、平均すると前年比+10%程度の上昇を続けている。住宅価格の上昇は、住宅価格評価益の現金化という形で英経済に追加的な購買力を付与し、安定した内需を原動力とした経済拡大を可能にした。

 下の図は英中央銀行のまとめた「住宅評価益引き出し(Mortgage Equity Withdrawal)」とその税引き後所得に対する比率の推移を表したものだ。1999年以降、英国が経済全体でどれだけの追加購買力を得てきたかを読み取ることができる。

 英住宅市況が英経済の安定的な拡大の中心的な要因であったことは確実だ。では、その住宅価格の上昇は何を要因にもたらされたのだろうか? 景気が良いから住宅価格が上がり、住宅価格が上がるから景気が良くなるという、鶏と卵の議論を繰り広げるのは簡単だが、ここにもう1つ、その正の循環を可能にしてきた重要な要因がある。「移民」の流入による住宅需要だ。人間誰であれ、生きていくためには「衣」「食」「住」は欠かせない。

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