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増配も、手放しでは評価できない

本当の株主への利益還元策とは

  • 石川 宏

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2006年12月7日(木)

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 企業が株主への利益還元姿勢を一段と強めている。増配会社の増加だけではない、増配幅が大きいのも最近の特徴だ。

 2007年3月期決算では、代表的例としてトヨタ自動車(7203)が年間配当を前期の90円から110円へ、同様に武田薬品工業が同106円を120円に、ファナック(6954)が同96円を145円に、東京エレクトロン(8035)が同55円を92円にと、大幅の増配を見込んでいる。増配だけではない。1株当たりの資産価値を高める自社株買いの動きも増えている。

 企業が株主への利益還元に積極化し始めた理由として、企業の再編をしやすくする仕組みである三角合併が2007年5月に解禁が予定されていることを意識したM&A(企業の合併・買収)対策や、資金調達面での証券市場重視、借り入れ減による財務改善――などが挙げられるが、それを助長したのは業績好調と資金的余裕である。そして、積極的な利益還元が企業評価そして企業価値を高めたことは大いに評価できる。

利益還元は連結ベースで

 しかし課題も残る。第1は、企業の利益還元政策がバラバラ、よく言えば多様化していること。有価証券報告書を見ると、安定配当に配慮するという文言だけで済ましているケースが相変わらず多い。

 配当性向(注)の目標値を掲げるところまで踏み込んでいる場合もある。業績連動型の配当政策を採るケースもある。また、配当性向だけではなく自社株買いを含めての総還元性向(配当金額と自社株買い金額を加えてそれを純利益額で除して算出)をはっきり打ち出す企業もある、といった具合だ。

 配当性向や業績連動型の配当政策を示すことは、曖昧な目標表現よりは一歩前進だが、課題もある。数値を単体ベースで表示しているケースがあることだ。連結決算が主流になった時代には、少なくとも企業は連結ベースでしかも目標数字を伴った還元策を明らかにすべきである。

 法的には配当の上限金額は、単独決算がベースだが、現実には株式市場では、株価、そして企業価値は連結数字を基にして形成されている。とすれば、企業も連結ベースで株式市場や投資家に情報発信をするのが当然の責務であろう。

利益剰余金も還元原資

 2つめの課題は、配当性向と総還元性向のいずれの算出でも、原資に1つの決算期の純利益だけを使うのは、利益還元策としては必ずしも十分ではないということだ。現在の配当性向、総還元性向はフロー(1期間)の利益の還元だから、業績が向上(悪化)すれば、それに応じて増配(減配あるいは無配)もするという業績連動型配当政策が出てくる。しかし、同配当政策には、安定配当分についてのメッセージの追加が必要ではないだろうか。

 というのも、利益は翌期に繰り越される分もあり、その積み重ねが利益剰余金としてバランスシート(財務諸表)に計上されている。利益剰余金は、いわばストックの利益還元原資である。業績悪化時には、配当などにその積み立てを取り崩して使えばよい。9月中間期が赤字決算となったNECが増配したのもこのケースに当てはまる。

 企業の中には、株主資本配当率(注)を経営目標や利益還元法として掲げるケースも散見される。株主資本配当率は、利益配分と資本効率活用の両立を求めるうえで、重要な指標ではある。

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