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タイバーツ不穏の裏に人民元あり

  • 竹島 慎吾

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2007年1月22日(月)

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 2006年のアジアの株式市場は大幅に上昇、シンガポール、香港、インドなどでは史上最高値を更新した。2007年に入ってもこの勢いが続いており、投資家のアジアへの期待の高さを反映していると言える。こうした中、アジアで例外の国がある。それはタイである。

 投資家のタイへの期待が乏しいのは昨年9月のクーデターが直接の要因ではない。クーデター以降、金融市場ではむしろ政局が安定するとの期待が高まった。しかし、暫定政権の方向性が明確に示されない中、最近打ち出された政策を巡り暫定政権の政策運営に対する不信感が強まっているからだ。

クーデターを上回る衝撃、資本規制

 中でも昨年12月18日にタイ中央銀行が打ち出した海外からの短期資金流入を抑制するための強硬な資本規制は、金融市場にクーデターを遥かに上回る衝撃を与えた。規制の柱は、海外から外貨を持ち込む場合、持ち込み額の30%を無利息の準備金として最低1年間中銀に積み立てることを義務づけるというものである。

 当初、規制の対象に株式が含まれていたことから、規制発表翌日のタイの株価は15%近く下落した。株式市場の混乱を受け、タイ中銀は急遽株式を規制の対象から外したものの、その後発生した連続爆弾事件の影響も加わり、タイの金融市場は混乱が続いた。

 タイ中銀が資本規制に踏み切った背景には、大幅な通貨高が進行したことがある。特に2006年9月のクーデター以降、政局安定への期待感を背景に海外から大量の投機マネーが流入、タイバーツの上昇に弾みがついた。2006年、アジア通貨は軒並み上昇傾向をたどったが、タイバーツの上昇率が突出して高かったことがタイ中銀を大胆な規制に追い込んだと言える。政局混乱で内需が低迷しているタイでは、通貨高の進行による輸出の鈍化が、景気低迷をもたらす懸念が強まっていた。

 今回はバーツ危機と呼ぶほど深刻な事態に陥ったわけではないが、規制発表後の市場の混乱は、10年前の1997年夏にタイバーツ暴落に端を発したアジア通貨危機を想起させるものであった。

 当時は資金流出による通貨安が問題になったのに対し、今回タイを悩ませたのは資金流入による通貨高と10年前と状況は大きく異なるが、一国の金融市場の混乱が他国に伝播する可能性が懸念されたという点は変わらない。ASEAN(東南アジア諸国連合)各国は最悪の事態を回避すべく、タイのような規制を導入する考えがないことを相次いで表明した。

残存するアジア域内の為替制度の「歪み」

 10年前と現在では、アジアの金融市場を取り巻く環境は異なるが、大きく変化していない点がある。それはアジア域内の為替制度に「歪み」があるという点である。

 通貨危機以前、タイは通貨バスケット制度を採用していたが、バスケットを構成する通貨の大半が米ドルであったことから、実質的には米ドルにリンクした動きをしていた。こうした中、同じく実質的に米ドルペッグ制を敷いていた中国が、1994年1月に人民元を1ドル=5.8元から8.7元に約33%切り下げたことが、柔軟性を欠くアジア域内の為替制度の「歪み」を増幅させた。

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