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住宅バブル崩壊克服で過熱が心配に

  • 鈴木 敏之

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2007年2月2日(金)

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 TVドラマの名刑事が、次々に難事件を解決していくように、近年の米国経済はふりかかる苦難を次々に克服し、インフレなき安定的成長を持続させている。

 2000年のIT(情報技術)バブル崩壊、2001年に9.11(米同時多発テロ)、2002年にエンロン、ワールドコムなど一連の企業会計不信での株価急落、2003年にイラク戦争開戦。その後も原油価格の急騰があり、2005年には大型ハリケーンの来襲があった。難題が次々と押し寄せても米経済はいく度かの調整を強いられたが小幅や軽微に抑え込んできた。

 昨年からは、住宅バブル崩壊が話題となった。バブル崩壊が深刻な経済の停滞をもたらす例は稀であり、大事とはならずに乗り切れるだろうというのが、米国のエコノミストの大勢の見方であった。今、失業率は4.5%とほぼ完全雇用、人々はインフレの不安も感じていない、株価の動きも底堅く、財政収支・貿易収支も改善の動きを示している。米国経済は申し分ない状態にある。

 結局、住宅バブル崩壊も克服できそうである。ここでひとつの心配がわき出している。その完全雇用に近い状況で、住宅の調整も底入れが見え、一方で、成長刺激効果のある原油価格の下落が起きている。成長のスピードがつき過ぎる不安が台頭しかねないのである。

住宅調整に底入れの感触

 住宅関連の指標を見ると、昨年12月に発表された住宅販売の指標に底入れが見えた。住宅販売統計では、目下、在庫の動きが大きな注目であるが、中古住宅販売統計で在庫戸数と販売戸数の比率が底入れを示している(下の図参照)。この比率は、統計的には住宅価格に影響するもので、今後は、住宅価格の下げ止まりの可能性を視野に入れて物事を考える必要がある。

 1月になって発表された昨年12月の住宅着工戸数は年率164.2万戸、前月比4.5%という強めの増加を示した。これは、暖冬の影響で、例年ならば建設活動の滞る地域での着工があったため数字が過大に出ているが、その分を割り引いてみても、少なくとも悪化は止まり始めている様子がある。

 市場金利や所得から計算される住宅の取得能力を示す指標は改善し始めている。また、住宅ローンの金利と連邦債券の利回りの差が縮小している。住宅ローンの貸し手は、貸し出しを延ばそうとしていることになる。

 労働需給が引き締まっていて所得面で不安が小さく、資金は借りやすく、住宅価格は結構下がってきて値頃感も出てきた、もう価格は下がらないかもしれないとなると、住宅の調整の底入れ論が現実味を帯びてくる。住宅のサイクル的な調整に着目するだけでも、この通り、調整は軽く済みそうだという状態だが、バブル崩壊論となるともっと楽観的である。

 第1に、バブル崩壊というならば、価格の低下はピークから6~9割下落するものであるが、今回の米国の住宅バブルなるものは、ほとんど下がっていない。とてもバブルとは呼べない(表参照)。

■バブル崩壊の比較
1929年の
米国株
1989年の
日経平均株価
20000年の
ナスダック
2005年の
住宅価格
最高値 381 38915 5049 229
その後の最安値 41 14309 1114 217
下落率 ▲89% ▲63% ▲78% ▲5%
住宅価格は中古住宅販売で中位の価格
「最高値」と「その後の最安値」の単位は1000ドル

 第2に、住宅価格統計が本来の住宅の価値を把握できるかは難しい問題がある。増改築が行われて価値が高まる分がある。全米で犯罪が減少しているが、住環境が良くなっている分、全く同じ質の住宅であっても値段は上がる。これらの変化を見ると、バブルがあったというのは疑わしい。最近の住宅についての当地の議論では、住宅価格の上昇を国際比較して、米国の住宅価格上昇は大きくないことが話題にされている。

 第3に、金融政策の巧みさがある。2004年から米国では利上げを始めた。利上げがなされる中で、市場の金利が上昇しなかった状態を「謎(コナンドラム)」と呼んで、FRB(米連邦準備理事会)は不快こそ示した。しかし、無理にその状態を変えようとはしなかった。インフレ面の大きな不安がないからこそできたことであるが、結果として、優しく、経済に調整の負担がなくブレーキをかけたことになる。

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