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不平等がもたらす本当の問題とは

  • ロバート・シラー

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2007年3月7日(水)

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 世界各国の指導者は、不平等と経済成長の分け前にあずかれない状態を、社会不安や暴力につながると確信しているようだ。しかし、不平等は真の問題なのだろうか?

 インドのマンモハン・シン首相は昨年12月、ニューデリーで開かれた国際ダリット(被差別カースト)・少数民族会議でそれについてこう述べた。

 「経済成長によって絶対的貧困は削減されるかもしれないが、不平等はより鮮明になる。これは、政治的にも社会的にも非常に不安定な状態だ」。さらにインドは「成長を妨げたり、個々人の冒険心や創造性を刺激するための報酬を減らしたりしないで、社会的及び経済的不平等を減らす策を講じなければならない」と続けた。

 また、1月のスイス・ダボスでの世界経済フォーラムでは、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダシルバ大統領が、「経済成長と雇用創出、所得配分があってこそ、我々は平和な世界に暮らせる」と述べ、開発途上国の貧困層を救うため、農産物の輸出関税を引き下げるよう要請した。

 こうした議論は今や常識の感がある。経済成長の恩恵に全面的にあずかれると思えば、人々は社会の平和を下支えするだろう。でなければ、社会不安が増す。

 しかし、その点を社会科学者が証明するのは難しい。実際、不平等と社会不安の相関関係を統計的に分析すると、逆相関すら見いだされるかもしれない。つまり、貧富の差が激しい社会は、金持ちが貧乏人をうまく支配するので、対立が少ない傾向がある。

社会不安がもたらす不平等

 社会不安が不平等から生じることを示す証拠はいくつかある。経済学者のアルベルト・アレジーナ氏とロベルト・ペロッティ氏は、別の要因をいくつか調整した後に不平等が激しい国は、社会不安が大きいことが多いことを証明した。これは、政治的理由から起きた殺人の数や、暴動で死亡した人の数といったもので計られた。

 それでも、不平等が社会不安の原因だというもっとはっきりした証拠がなぜないのだろう。問題の一部は、社会の不調和を生むのが必ずしも不平等自体ではないところにあるかもしれない。また、不平等がどう生まれるかの考え方にもよる。社会不安は、暗黙の約束事を破ったとか、誇らしい行動を取っていないなどの裏切られたという感情を強く反映する。

 事実、他人の意図を信頼する気持ちは、機能する経済の要である。弁護士は多くの契約書を作成し、裁判所はその執行にたくさんの時間を費やすが、こうした制度ではすべてをカバーできない。ほとんどの経済関係が誠意――チェックされていなくても正しいことをするという基本的な姿勢――次第なのである。

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