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クレジットクランチは生じるのか?

米国サブプライム住宅ローン問題をどう読む

  • 矢野 和彦

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2007年3月16日(金)

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 過去数週間、米住宅市場の底入れに対する市場の期待を打ち砕くかのように、「サブプライム住宅ローン(信用力に劣る顧客層向けの住宅ローン)問題」が急激にクローズアップされてきた。返済遅延率やデフォルト率の急上昇と、それを受けた住宅ローン専門会社の倒産急増、さらには近年サブプライム住宅ローンに積極的に関わってきた一部の大手金融機関にも影響が表れ始めたことなどを受けて、市場はこの問題がどこまで深刻化するのか不安を強めている。

 市場が抱えている不安は大きく2点に集約できる。

 第1は、足元で広がり始めたサブプライムローン市場の急変が、住宅ローン市場全般や、住宅販売・住宅建設といった住宅市場そのものに対してどれだけのマイナス圧力を及ぼすかということだ。

 第2は、そうした動きが金融機関経営への影響を通じて1990年代初頭に生じたような大規模な信用収縮(クレジットクランチ)を誘発してしまうリスクはないのか、ということだ。今回はこれらのリスクについてどう見るべきか考えてみたい。

過去数年で急増したサブプライムローン

 現在、米国の住宅ローン残高(一戸建てまたは4世帯以内の居住用住宅向けローン)は約10兆ドルで、そのうち約1割強がサブプライムローンであるとされる。また、新規に実行された金額ベースで見ると、2003年以前に全体の1割未満に過ぎなかったサブプライムローンは2004年以降急増し、2005年時点では2割を上回るまでにシェアを急速に高めてきた(インサイド・モーゲージ・ファイナンス調べ)。

 さらに、ローン審査のために必要な書類などの条件を軽減した、“Alt-A”と呼ばれるタイプのローンを加えると、2004年以降の新規実行額のシェアは全体の3割超に達する。

 Alt-Aはサブプライムローンに比べれば信用リスクはやや小さいと見られるものの、審査要件の軽減という恩恵を利用してようやく受けられた融資と捉えられることから、サブプライムローンに含めて考えられるケースも多い。

 では、こうしたサブプライムローンの返済状況がこのところ急速に悪化し始めたのはなぜだろうか。確かに住宅市場が急減速したことは事実だが、他方で所得は総じて堅調な増加を続けている。こうした中で返済に窮するサブプライムローンの借り手がここにきて急増したことには、何らかの理由があるはずである。

 その理由は、2004年以降に急増したサブプライムローンのかなりの部分が、当初の支払い金利を低く抑えたり、当初数年は元本支払いをゼロにするといった、いわゆる「非伝統的住宅ローン」と呼ばれるタイプのものだったためだと見られている。これらのローンが実行から数年を経て当初の返済優遇期間を終え、金利リセットに伴う返済額の増大に直面し始めたことが、サブプライムローンの返済遅延率やデフォルト率の急上昇につながっていると考えられる。

 金利リセットの対象となる住宅ローンが2006年後半頃から2008年頃にかけて急増するということは以前から指摘されてきたことであり、実際にそれが顕在化し始めたと見ることができるだろう。

1980年代半ば~90年代初頭のデフォルト率を上回る可能性も

 では、今後こうした金利リセットによる影響で住宅ローンのデフォルト率はどの程度上昇するリスクがあるのだろうか。

 この点について非常に参考になるのが、米国の不動産調査機関であるファースト・アメリカン・リアルエステート・ソリューションズが昨年2月に発表した「住宅ローン返済リセット-噂と現実(Mortgage Payment Reset-The Rumor and the Reality)」と題されたリポートだ。

 同リポートでは、2004~05年にかけて実行され、2006年以降に金利リセットを迎える予定の住宅ローンが、金利リセットに伴ってどの程度デフォルトにつながっていくかについて、膨大なデータベースを基に、やや慎重な前提を置いて試算している。

 それによると、金利リセットの対象となるローン残高約1兆9000億ドルのうち、約15%に上る2970億ドルがデフォルトに直面する可能性あり、と結論づけられている。このうち96%、すなわち大部分は、同社がサブプライムローンやAlt-Aのような信用リスクの高いものと分類したローンである(表1)。

 

 この試算結果を基にすると、現在の住宅ローン残高全体(約10兆ドル)のうち、約3%弱がデフォルトに陥るリスクがあるという計算になる。現在、住宅ローン市場全体で30日以上の返済遅延が生じているものは約4.7%ある(モーゲージバンカー協会調べ)。これにさらに3%が加われば、返済遅延率は単純計算で8%弱程度にまで上昇することになる。これは1980年代半ばから90年代初頭における5~6%程度の水準を大きく上回るものだ。

 

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