私たち、板倉雄一郎事務所は、ある本を世に問います。
その本は「株式投資」に関する本です。タイトルは『真っ当な株式投資』。
世の中に存在する株式投資の本とは、かなり趣が異なっています。これを読んでも、「手っ取り早く儲ける方法」は書いてありません。株式投資でパフォーマンスを上げるための、テクニカルな要素については、ほとんどと言っていいほど触れていないのです。
その代わりに触れているのは、株式投資を行ううえで必要だと私たちが考えている「心得」や「気持ちの持ちよう」についてです。「経営者の立場に立って企業を見よう」「意味のあるお金の使い方をしよう」という話です。
私たちは「株式投資において利回りを考えることをやめよ」などと主張しているわけではありません。
なぜ、私たちが「真っ当な株式投資」をおすすめするのか。それは、「短期的」な「ラクしてがっぽり」という志向を捨てたほうが、結果的に長期で見れば高い利回りを実現できるからです。そのほうが、社会に価値を提供し、精神的にもラクになり、そして長期的な利回りを確保することもできるのです。
こんな私たちの考えに、すべての人が賛同するわけはないでしょう。また、賛同いただけない方に、この本の中身を理解しろと無理に押しつけるつもりもありません。むしろ、以下のような人には、この本を絶対に読んでほしくないと考えています。
- 手っ取り早くお金を儲けたい人
- お金を儲けるためであれば、ダーティーなことをするのもしかたがないと思っている人
- 他人の生み出した価値を搾取して儲ける行為に対して、何ら良心の呵責も覚えない人
こうした人々にとって、この本を読むことはおそらく苦痛でしかないでしょう。それと同様、こうした人々にこの本を読んでいただくことを、私たちは苦痛であると感じます。
売れる株式本を作りたいのであれば、「ン億円儲ける株式投資」「1年でン十%のリターンを上げる!」と訴えるほうが手っ取り早いかもしれません。本書のように「真っ当な株式投資」を標榜し、投資哲学的な内容、心構え的な内容を記すだけでは、おそらく一般的な受けはあまりよくないかもしれません。
私たちはそんなリスクを承知のうえで、あえてこの本を書きました。それでも書かずにはいられなかったからです。いま、世の中にあふれている株式投資に関する本から受けるまがまがしさや、拝金主義に我慢ができなかったのです。「ラクしてがっぽり」「簡単デイトレードでウハウハ生活」。そんな唾棄すべき、恥ずべき言葉にあふれた書店の投資本コーナーに我慢がならなかったのです。

板倉雄一郎事務所代表 板倉 雄一郎氏 (写真:大槻 純一)
株式投資は、そんなものではありません。ラクして儲けるための手段などでは決してありません。そして、私たちは誰も、「ラクしてがっぽり儲ける」ために生きているわけでは、ありません。
株式投資は、資本主義市場経済を機能させるために欠かすことのできない重要な役割を持っています。にもかかわらず、多くの日本人が、この株式投資の本質を理解しないまま、投資行為に及ぼうとしています。
これは非常に不幸なことです。
市場に参加する個人も企業も、株式投資に対する正しい知識があり、そして理念を持って行動していれば、個人も、企業も、社会も、みんなでより大きな「価値」を手に入れることができるのに、株式投資に関するみんなの知識がないだけで、間違った企業に間違ったかたちでお金が投じられ、一部の人だけが儲かり、多くの人がさまざまな意味で損をする、そんな状態が生まれてしまうからです。
だからこそ、まず「真っ当な株式投資」についての知識が必要なのです。そしてその知識をひとつの手段として、理念を持った行動を個々人が取るべきなのです。きれいごとを言っているのではありません。そのほうが、長期的に見れば、あなたも社会も得をするのです。
この本がもしも大いに売れることがあったなら、日本の株式市場に対して必ずやプラスの影響を及ぼしてくれるでしょう。結果として、日本という国は良い方向へ進むでしょう。私たちは本気でそれを信じています。
もちろん著者としては、本を手に取っていただくのが一番ありがたく、また手っ取り早いのです。しかし、ライブドア事件の判決、日興コーディアル事件と、市場を揺るがす出来事が相次ぐ中、「いますぐ、本書の内容を広く知ってもらうことが大事だ」と考えました。早い話が、書店に寄る時間がない方にも、ぜひ「立ち読み」をしていただこうというわけです。
日経ビジネスオンライン編集部と相談し、全9章の中から、いま最も考えてほしいポイントである、
「株式投資は人への投資」であること、
「デイトレード」の問題点、
そして「投資」と「時間」の関係。
これらを抜粋し、この場を借りてお話しさせていただきます。しばらくの間、どうぞよろしく。
さて、まずここで質問です。
「不動産投資と株式投資との根本的な違い」とは、何でしょうか?
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