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2006年米企業決算に異変

ストックオプションの新たな火種

  • 杉田 庸子

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2007年3月29日(木)

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 多くの米国企業の2006年12月期決算報告が出揃いつつある。2006年決算で特徴的だったのは、株式報酬に関する会計基準の変更に伴い、多額の報酬費用を計上する企業が目立ったこと。そして、多くの企業でストックオプション・バックデートに関連した過年度決算の修正・限定開示があったことである。

 まず、株式報酬に関する会計基準の変更とは、2006年から導入されたもので、ストックオプションを公正価値で評価するようになったことだ。公正価値の評価とは、ストックオプションの行使価格などを、株価の変動率、予想行使期間などの要素を金融工学を用いた複雑なモデルに当てはめて算出することだ。

 ストックオプションは経営者や従業員に将来、株価を一定の価格で買える権利を与えるもの。与えられた購入価格はオプションの行使価格とも言われ、この行使価格より権利を行使する日の株価が上昇していれば、ストックオプションを得たや社員や経営者には差益が発生し、その分が報酬となる。例えばストックオプションの行使価格が100ドルで、オプションを行使した日の株価が200ドルの場合、100ドルで買って200ドルで売却できるので100ドルの報酬が得られることになる。

 このストックオプションは多くの米国企業にとっては、当初の現金支出を伴わない人件費として重宝された。といのは、ストックオプションで費用処理が必要になるのは、付与した行使価格がその当日の株価より低く、ストックオプションを行使した社員や経営者に差益(すなわちオプションの価値)が発生する場合のみだった。ここで注意しなくてならないのは、会計上の費用処理が必要になるのは、行使価格より付与した当日の株価が高い場合であって、オプションを行使した日の株価が高い場合ではない。

 例えば、行使価格が120ドルで付与した当日の株価が120ドルなら、従来の会計基準では費用計上は必要でなかった。しかし、付与日の株価が140ドルなら、20ドルの報酬が発生したとみなされる。この時点でストックオプションは前払いの報酬費用と考えられ、付与日から権利確定日までの対象勤務期間にわたって費用計上することが要求された。

公正価値での評価が、費用計上の機会を増やす

 オプション費用を、付与したオプションの行使価格と付与した当日の株価を用いて算定することは、新会計基準になっても変わらない。違うのは、従来の会計基準は、付与したオプションの行使価格と付与した当日の株価をそのまま用 いる。

 これに対し、新会計基準では、両方の価格をオプション価格モデルに当てはめるて算出することだ。それによって、例えば、行使価格も付与日の株価も120ドルであっても、行使時点の株価の予想値(期待値)が140ドル、行使価格の予想値が110ドルと計算され、30ドルの差益(オプションの価値)があると算出されることもあるのだ。

 この変更で、米国の公開企業のストックオプション費用は大きく増加した。

 例えば、ヤフーは2006年12月決算で新基準に基づき評価した結果、4億2500万ドル(約500億円)の株式報酬費用を計上し、このうち3億2400万ドル(約380億円)が会計基準変更によるストック・オプション費用増加の影響とされている。またオラクルが2006年11月に発表した2007年5月期第2四半期報告書によると、2006年6~11月までの半年に計上したストックオプション費用は9800万ドル(約115億円)となり、そのうち会計基準変更による影響は8500万ドル(約100億円)とされている(注:数値はすべて税効果考慮前)。

日本も会計基準変更、楽天やアスクルが既に費用計上

 ストックオプション費用の増加は、日本企業にも無縁でない。「ストックオプション等に関する会計基準」の発効で、日本でも公開企業は会社法が施行された2006年5月1日以降に付与したストックオプションに関して、米国基準とほぼ同等の方法で公正価値評価と費用処理を行うことが求められている。新基準に対応し、楽天は2006年12月決算で会計基準変更による追加費用を1000万円計上し、アスクルは2007年5月期中間決算で900万円を計上した。

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