「板倉雄一郎の『真っ当な株式投資』」

第3回 デイトレード、“必敗”の理由

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2007年4月9日(月)

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 「デイトレード」とは、文字どおり1日(デイ)単位で、激しく売り買いをする投資手法のことです。そして、デイトレードをする人々のことを、「デイトレーダー」と称します。

 中には、独自のデイトレード手法で驚異的なパフォーマンスを実現しているデイトレーダーもいるようです。一部のデイトレーダーは、「カリスマ」として、メディアに登場し、本を書き、セミナーを開催し、教材を販売しています。

経営情報ではなく、株価の値動きが重要

 通常、デイトレーダーは、株式市場が開く午前9時から取引を開始します。そして、相場が開いている間は、ひっきりなしに売り買いを繰り返しています。

 あるデイトレーダーは、その様子を、「場が開いている間は、ずっと何枚ものモニターを眺めて注文を出し続けているので、トイレに行くこともできません」と言っています。

 デイトレーダーは、一般的に市場が閉まる午後3時の段階では手仕舞いをして、現金化します。企業の株式を保有したまま翌朝を迎えるのではなく、いったんキャッシュにしてしまうのです。

 デイトレーダーの特徴としては、「過去の株価の値動きを表すチャートを重視する」ということがあげられます。

 その企業がどのような価値を持っているか、については、ほとんど考慮されることがありません。それどころか、その企業がどんな商品を扱っており、どんな経営者が経営しており、どこに本社があり、どれくらいの規模の企業であり、どういった経営状態であるか、投資企業に関するそうした基礎的な情報について、ほとんど考慮することがありません。

 デイトレーダーにとって、重要なのは「その企業の株価の値動き」なのです。

おすすめしません!

 デイトレーダーの説明はこのくらいにしておきましょう。なぜ彼らを俎上に上げたのか。それは、私たちが、デイトレードには、大きな問題点が3つ存在する、と考えているからです。

  1. 社会への価値提供がないこと
  2. ゼロサムゲームであること
  3. そもそも損をする可能性が大きいこと

 以上、3点です。こう並べてみると、デイトレードには「いいことが全然なさそう」ですが、実は、そうなのです。はっきり言って、まったくおすすめできない株式投資法です。

「え、あんなに本が出ているじゃない?」
「テレビに大儲けをした若者や主婦が出ていたぜ」

 たしかに、デイトレードの本は書店の株式投資コーナーにどれを選べばいいのか分からないほどたくさん並んでいますし、テレビの株式投資特集や雑誌の記事には、「デイトレードで大金持ちになった幸せなひとたち」がしばしば登場します。

 が、それでも、デイトレードは「問題だらけ」なのです。では、デイトレードの問題点を、順番に見ていきましょう。

問題その1:社会への価値提供がないこと

 デイトレードは、取引回数が極めて多い投資手法です。1日中モニターの前にかじりつかないとできません。そして、取引をしている間は、ほとんど他のことはできない状況になります。

 雑誌の記事だのブログだのあるいはテレビ番組などでは、「セミリタイア」し、「デイトレで生計」を立てることを、ある種のゴールであるかのように喧伝されているケースがままあります。

板倉雄一郎事務所代表 板倉 雄一郎氏 (写真:大槻 純一)

板倉雄一郎事務所代表 板倉 雄一郎氏 (写真:大槻 純一)

 デイトレードの実態を知っていれば、こんなバカな話はない、ということにすぐ気がつくはずです。トイレに行くことさえ我慢してモニターにかじりつく行為のどこが「リタイア」なのでしょうか。

 デイトレードをするという行為は、パチンコと同じ行為です。パチンコのほうが(パチプロの方やパチンコで稼ごうと思っていらっしゃる方を除けば)遊戯と割り切れる部分があるだけまだマシかもしれません。いずれにせよ、デイトレードやパチンコをすることによって、何らかの価値が世の中に生み出されることはありません。まさしく、価値を生み出さない、という点では、デイトレも「娯楽」としか言いようがないのです。

 そして、デイトレードという名の「娯楽」を行っている間、デイトレーダーの方々の「時間」という極めて重要な資源は、トレードのためにどんどん切り売りされています。

 デイトレードを行っていると、平日の日中に働くことができません。仮に働いていたとしても、午前9時から午後3時の間は、相場のことが気になって仕事に集中することができないでしょう。デイトレードの経験者から、実際にそんな話を聞いたことがあります。それでは、本業のほうでも、あなた本来の能力を発揮することはできません。

 そのうえ、デイトレーダーの中には海外市場も対象にされている方がいらっしゃいます。こうなると、夜中が取引の時間帯になったりしますから、慢性的寝不足を誘発します。「昼間はサラリーマン、夜はデイトレーダー」なんていかにも格好良さそうなイメージですが、ほとんど寝ないでいるような状況になるわけですから、あなたの昼の仕事のパフォーマンスはおそらく下がる一方でしょう。

 人間には、みんな「世の中に価値を創出する能力」があるはずです。そして実際の社会だの経済だのは、そこに参加している人たちのこうした「能力」が生み出した「価値」の総体なのです。

 もちろん、あなたにも「世の中に価値を創出する能力」はあります。それは、あなただけが持って生まれた、天からの大切なギフトです。ところが、その能力が、デイトレードに没頭したぶんムダになってしまうのです。

 それはあなた自身に対する大きな罪です。
 あなたがデイトレーダーになるということは、あなたの持って生まれた能力と、その能力をこれまでに磨いてきた努力に対する大きな「犯罪」だとさえ言えます。

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著者プロフィール

板倉雄一郎事務所

「多くの方に『資本主義経済』の仕組みを伝え、日本人のフィナンシャル・リテラシーを高めることを通じて、価値提供に応じた最適配分社会の実現に貢献する」ことを活動理念とするパートナーシップ組織。代表の板倉雄一郎以下、弁護士・会計士・コンサルタント等8名のパートナーによって構成される。主な活動内容は、1泊2日の企業価値評価セミナー合宿をはじめとするファイナンス教育事業、書籍やDVD等のコンテンツ事業、ファイナンス戦略やIR戦略をはじめとする企業コンサルティング事業等。サイトはこちら

板倉 雄一郎
(いたくら・ゆういちろう)

板倉 雄一郎

1963年千葉県船橋市生まれ。板倉雄一郎事務所代表。ベンチャーキャピタル経営、企業価値創造コンサルティング、講演、執筆などで活躍中。企業価値評価をベースにした投資家教育、経営者教育を通じ、日本人のフィナンシャル・リテラシー向上のために尽力中。著書に『社長失格』(日経BP社)、『おりこうさんおばかさんのお金の使い方』(幻冬舎)など多数。ブログはこちらから

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