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彼らの意見は、中立なのか

議決権行使アドバイザーの素顔

2007年4月24日(火)

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 プロクシーアドバイザーという言葉をご存じだろうか。直訳すると、議決権行使助言会社。株主総会で出される様々な議決案件を承認すべきか、否認すべきか、株主に対して助言する会社だ。彼らが活躍する場が増えている。

 プロクシーアドバイザーの最大手はインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)。そして2番手はグラス・ルイスだ。彼らプロクシーアドバイザーは、既に日本でも活動している。

 最近で言えば、ISSはサッポロホールディングス(サッポロHD)(2501)の株主に対し、米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドがサッポロHDの出資比率を引き上げるにあたって、サッポロHDが買収防衛策を導入することに反対するよう呼びかけた。

 これらプロクシーアドバイザーの近年の成長は目覚ましい。例えばISSについて言えば、約1600社の顧客(機関投資家)が保有する株式は23兆ドル(2737兆円。1ドル=119円で換算、以下同じ)を超える。一説によれば、同社の意見は世界の議決権の2割を動かすとも言われている。

 ISSは対象企業が独立した指名委員会や報酬委員会を設置しているか、独立した社外取締役が取締役会の過半数を占めるかなど、63もの項目にわたって、企業の「コーポレートガバナンス指数(CGQ)」を評価する。そしてこの評価の結果、株主に対して議決権行使の助言を行うわけだ。

 このように、企業のコーポレートガバナンスのあり方について大いなる影響力を行使するISSだが、最近になって同社に対する批判が取りざたされている。

万能の存在か?

 その1つはISSが企業のガバナンスのあり方を評価する立場にありながら、同時に対象企業に対してコンサルティングサービスを提供し、報酬を得ていることへの批判がある。先に述べたCGQを改善するための診断ツールなどを提供し、対価として報酬を得ることは、利益相反行為に当たるのではないか、と厳しく非難されている。米エンロン事件で監査法人が監査しながら、コンサルティングすることを矛盾する行為として批判が生まれたのと同じ構図だ。

 次に、ISSが一方的に「正しいコーポレートガバナンスのあり方」を、偏った定義の下で判断してきたことへの批判も強い。特に、これまでの評価基準は企業の財務パフォーマンスは一切考慮することなく、コーポレートガバナンスのあり方だけを取り上げて評点をつけてきたため、批判が絶えなかった。

 このような批判に応えて、ISSは最近になって株価パフォーマンスを評価の中に組み入れることとした。評価の中で、過去5年間、3年間、1年間の株価パフォーマンスを、それぞれ50%・30%・20%の重みづけをして評価するというのである。

 ところが、新方針の下でいざ評価を始めると、また別の問題が生じた。数年前まではガバナンスの優等生と見なし、トップクラスの評点を与えてきた米フィフス・サード・バンコープに対して、同社の経営陣の再任を拒否する方針に転換したのである。その理由をISSは、フィフスが過去5年間、株価が低迷し、それに対する対応策を打ち出していないこととしている。

 しかし、フィフスの株価推移を10年単位で見ると、S&P500のようなインデックスより、安定的に上回っている。また、フィフスは2005年に63の拠点を増設し、1400人も営業担当を増員するといった収益力の強化策を施している。このような理由から、ISSの新たな評価基準と運用に疑問を投げかける声も少なくない。

 そして、そもそもISSに、このような評価を行う企業分析能力があるのか、と疑問視する意見もある。例えば、ISSが評価する企業と同社が抱えているアナリストの数が適正なのかという問題だ。2006年1月時点でISSには500人の従業員のうち、企業分析に携わるアナリストは約290人いるとされている。一方、ISSが評価する企業は全世界3万3000社で、リポートを発表している。単純に頭数で割ると、1人当たり113社になる。

 証券会社のアナリストは通常10~20社の担当が平均的とされている中で、それを大幅に上回る数の企業を、果たしてどこまで具体的に調査・分析できているのだろうか。ある記事では、ISSが近年オフショアへの業務アウトソーシングを進めていることを指摘し、「フィリピンという場所で、世界の企業の分析をどこまで効果的に行えるのか?」といった趣旨の質問を同社に投げかけていた。

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「彼らの意見は、中立なのか」の著者

岩瀬 大輔

岩瀬 大輔(いわせ・だいすけ)

ライフネット生命保険社長兼COO

1976年埼玉県生まれ。98年に東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官