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フランス新大統領の問題点

資本主義は投機、愛国心とは無縁

  • ロバート・シラー

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2007年5月7日(月)

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 決選投票の結果、フランスの新大統領に決まったニコラ・サルコジ氏は先日、いわゆる「投機的資本主義」を痛烈に批判した。ユーロによって創り出された「金融圏に道を説きたい」とも言う。サルコジ氏の言う「投機的資本主義」とは一体何を意味するのだろうか?

 どうやら道徳に反するものらしいが、何だろう。以前にはあまり使われなかった言葉であるし、重複表現のように思われる。結局、資本主義と投機とは実質的に同義語なのではないか。

 サルコジ氏の意見は、彼の政党にも国にも特有なものではない。その発言が標的にしているのは、21世紀の経済を特徴づける新しい考えであり態度である。従って我々は、「投機的資本主義」とは何かについて真剣に考えるべきである。

自由貿易への干渉

 サルコジ氏は自由貿易を「素朴な政策」だと言い、経済のグローバル化の行く手を阻むために多くの対策を講じたいと考えている。彼はフランスの労働市場の流動化を望んでいるが、外国企業による仏企業へのTOB(株式公開買い付け)は阻止し、エアバスの労働者を失業から守ろうとするだろう。

 フランスを投機的資本主義から守ることは、国民の雇用を守るために自由貿易に干渉することを意味しているようだ。確かにこの急速にグローバル化が進む世界で、労働者や社会が直面する大きなリスクに注目するのは正しいことだ。だが、この問題を舞台の中央に持ってくるのは、雇用を何が何でも守ることとは意味が違うはずだ。

 資本家は、最も多くリターンが見込めるところに投資する。それが「投機」だ。彼らは会社を買い、それを分割・再編成し、従業員を一部解雇し、別の者を雇う。ここから利益を生むためには、愛国心や感傷が入り込む余地はない。

 資本家はどこの国であれ、最も利益の得られる国でビジネスをする。事業の成功によって儲けるというのが、資本主義の基本である。その活力に満ちた過程を、ヨーゼフ・シュンペーター氏は「創造的破壊」と呼んだ。

 資本主義の下では、契約を破り、法に触れる行為をすれば道義に反するが、投機は不道徳な行動ではない。計画経済が広く行われないのは、将来の不確実性が非常に高いからだが、将来のことは、投機家に任せておくのが一番だ。読みが正しければ報酬を得られるし、間違っていれば市場から鞭をくらうだけのことだ。

仕事を奪われることの始まり?

 サルコジ氏と同じような自由貿易への懸念の声が、世界で勢力を増している。昨年「フォーリン・アフェアーズ」誌に、ビル・クリントン元大統領の顧問で、米連邦準備委員会(FRB)の副議長だったアラン・ブラインダー氏が、グローバル化が進む過程で大量失業が起こる可能性があるとの記事を寄せている。電子通信技術の発達によって、何千マイルも離れた場所にいる誰かに仕事を奪われる可能性が大きいとすれば、今はこの過程のほんの始まりに過ぎないのかもしれない。

(編集部注:この原稿は大統領選挙前に執筆されたものですが、大統領選の結果をふまえ、肩書きを変更しました。また原稿は、次ページにも続きます)

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