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米国の利下げ可能性は消えたのか?

雇用下ブレで利下げ期待の再燃も

  • 矢野 和彦

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2007年6月22日(金)

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 米国景気は今年1~3月期の低成長から、足元の4~6月期はやや持ち直しを見せている。昨年来、在庫調整を進めてきた製造業の生産活動に緩やかながら回復の兆しが見られることに加えて、雇用・消費は総じて底堅い動きを維持している。4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率0.6%と低調だった1~3月期から持ち直し、2%台半ばから場合によっては3%に達するのではないかとの見方もある。

 こうした中、春先に広がりを見せた景気に対する悲観論はすっかりと鳴りを潜め、それに伴い市場におけるFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ予想も足元では完全に消失してしまった。ゴールドマン・サックスやメリルリンチなど、これまで年内複数回の利下げを予想していたウォールストリートのいくつかの予測機関も、過去数週間で相次いで利下げ予想を放棄、見通しを変更した。

利下げ期待のカギは雇用情勢が

 果たしてFRBが利下げに踏み切る可能性は本当に消え失せてしまったのだろうか。筆者自身は、今後再び市場が利下げ期待を高め、かつFRBも年内利下げの決断を下す可能性がなお大きいのではないか、と考えている。利下げ期待の再燃をもたらすきっかけとなるのは、現在は「堅調」との認識が広く共有されている雇用や消費、とりわけ雇用情勢の予想外の下ブレではないかと思われる。

 従来、個人的にはこうした雇用や消費の下ブレはこの4~6月期頃に確認され始めるのではないかと予想していた(2006年12月11日12月27日付け本欄参照)。3月の実質個人消費は前月比横ばいに足踏みし、4月の雇用統計は非農業部門雇用者の前月比増加数がわずか8万人にとどまった。

 こうした動きは、雇用や消費の弱含みが顕在化する兆しではないかと思われた。しかしながらその後4月の個人消費はやや持ち直し、5月の雇用者数も前月比15万7000人増へと増加幅を高めることになった。

 もっとも、単月のブレをならして見た場合、雇用や消費の増勢が徐々に弱まりつつあることは事実だ。5月の雇用者数の増加も、昨年来の緩やかな鈍化基調からの反転加速を示唆するものではなく、増勢鈍化トレンドの延長線上にある(上の図)。消費に関しても、1年前と比べたガソリン販売店、自動車ディーラー、建材・造園関連販売業を除くコア小売り売上高の増加率は、昨年初来の鈍化基調が足元まで続いている。

 こうして見てみると、雇用や消費は確かに「総じて堅調」ではあるものの、その一方で徐々に勢いが衰えつつあることもまた事実なのである。「堅調が続いている」との認識が市場で広く共有されている現在、今後仮に予想以上の下ブレが明らかになった場合には、この「減速基調にある」という事実に対する注目が改めて強まる可能性は十分にある。

昨年の利上げ見送りも、雇用統計の下ブレが要因だったが、実は・・・

 振り返れば、2004年6月以来、連続して利上げしてきたFRBが昨年8月に2年2カ月ぶりに利上げを見送ったのも、1つの理由はFOMC(連邦公開市場委員会)の直前に公表された7月の雇用統計が下ブレしたことだった。当時、非農業部門雇用者数の増加数は速報値で11万3000人と市場予想の15万人を下回り、基調としても雇用の増勢テンポ鈍化が明らかになっていた。こうした中で市場はFRBの利上げ見送り予想を一気に高め、実際にFRBも据え置きに踏み切った(2006年8月11日付け本欄参照)。

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