米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した信用収縮から市中金利が上昇し、日米欧などの中央銀行が資金供給を継続している。しかし、銀行間市場の流動性は枯渇しており、主要国の銀行間金利3カ月物が政策金利から乖離した状況が続いている。
特に英国では、中央銀行であるイングランド銀行が、ECB(欧州中央銀行)とは対照的に、3カ月物などの長めの資金供給に消極的なことから、その乖離幅が大きくなっている(図参照)。こうしたイングランド銀行の姿勢から、英国では、預貸率(預金に占める貸し出しの割合)が高く、そして住宅ローン債権の証券化や金融市場での資金調達に依存している金融機関の資金繰りが懸念され、実際に9月14日、英国の住宅ローン専業銀行ノーザンロックはイングランド銀行から緊急資金支援を受ける事態に発展した。
金融システムへの波及は回避
ノーザンロックについては、金融サービス機構(FSA=英国の銀行などの規制監督機関)が自己資本規制などの要求を満たしていると判断しているが、イングランド銀行は金融不安の波及を阻止するためノーザンロックへの支援を決定した。イングランド銀行は住宅ローンなどの資産を担保に、上乗せの金利で資金供給する模様だ。
さらにイングランド銀行は、同様の短期の流動性不足問題には、最後の貸し手として行動する用意があることを表明し、事態の沈静化を図っている。14日以降、ノーザンロックの支店には預金者が行列を作る騒ぎが発生しているが、他の銀行は平常通りの営業を続けており、金融システムへの波及は回避されている。
なぜ、ノーザンロックはつまずいたのか?
ノーザンロックは、もともと相互会社形態を取る住宅金融会社であったが、1997年に株式会社に転換し、上場を果たした。株式時価総額は上場当時の20億ポンドから昨年末には50億ポンドに達する成長銘柄となり、2000年以来、株価は英国の銀行セクター平均伸び率を上回る傾向にあった。
また住宅ローンの証券化や金融市場での積極的な資金調達を原動力に、住宅ローンを急激に伸ばした。英国における住宅ローン残高シェアは1997年の3%から2006年には7.2%に上昇し業界第5位、新規の住宅ローン契約では金額ベースで業界第3位となっている(会社側資料、住宅ローンの業界団体Council of Mortgage Lendersデータに基づく)。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



1960年東京都大田区生まれ。1983年早稲田大学政経学部卒業。造船会社、証券会社を経て2000年、野村證券入社。金融研究所投資調査部を経て、2002年から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。







