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ドル基軸が揺らぐ予兆?

サウジとオマーンの政策金利に表れた異変

  • 本多 秀俊

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2007年10月3日(水)

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 最近、外国為替市場にちょっとした異変が起きた。過去21年間、1ドル=3.75リヤルの固定相場制を維持し続けてきたサウジアラビアの通貨リヤルが、9月21日に対ドルで0.3%あまり上昇したのだ。2日前の9月18日に発表されたFRB(米連邦準備理事会)による政策金利引下げに、サウジが追随しないと発表したのがきっかけだった。

 それから9月末までの間、わずか0.5%にも満たないリヤル上昇が、通貨市場ではドル凋落の兆しとして大きな関心を集めている。市場からの圧力に屈しサウジ通貨当局が、対ドルでのリヤル切り上げや、ドル固定相場の廃止、あるいはユーロとドルのような複数の通貨に水準を連動させるバスケット通貨制への移行に踏み切る、との観測が広がったからだ。仮に実現すれば、それは、国際貿易の決済通貨として、原油取引の建値通貨として絶対的な地位を占めてきたドルの支配力低下と読まれる。

 24日には、同じくドル固定相場制を維持し、中東産油国6カ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、バーレーン、クウェート)で構成する湾岸協力会議(GCC)の一員であるオマーンも、FRBの利下げに追随しないことを表明した。サウジアラビア・リヤルもオマーン・リヤルもドル固定相場制の下にある。

 両通貨が固定相場制を維持するのを前提にするなら、両通貨の金利は原則として同じ体系を持たなければならない。信用力や期間によって金利に多少のばらつきが生じることはあり得ても、すべての金利の基準となるべき政策金利が食い違うことなど、常識的に考えてあり得ないはずだ。

ドル固定相場制の抱えた歪み

 そのような常識に逆らって、なぜサウジやオマーンは追随利下げを見送ったのか? その理由は両国を取り巻くインフレ懸念にある。両国のみならず湾岸協力会議加盟各国は、下の図の通り、近年、一様に物価上昇懸念に悩まされ続けてきた。おりからの原油価格急騰が、原油収入の爆発的な増加=通貨供給量の急増をもたらしてきたのが、その主因と思われる。

ユーロ/ドルと各国消費者物価指数

 インフレの要因はそれだけではない。インフレ抑制のために政策金利を引き上げたくても、ドル固定相場を採用する各国には、金融政策を発動する余地が極めて限られている。さらに、ここ数年進んだドル安は、取りも直さず自国の通貨安に直結し、輸入物価を押し上げる要因ともなってきた。

 そもそも、近年の原油高もドル安とは表裏一体の現象と言える。つまり、「寄らば大樹の陰」とばかり、強くて安定したドルに頼ってきたつもりが、その強さと安定とが根元から揺らいできてしまったというわけだ。

常識だけでは測れない金融市場

 「こうなってはもはやドル固定相場制の維持は不可能」「輸入産品の3割が欧州から輸入されるのだから、ドル7割+ユーロ3割のバスケット通貨制に移行すべき」

 といった意見は、極めて常識的と言えよう。実際に、今年5月、クウェートは「インフレ懸念」を理由に、他の湾岸協力会議加盟国に合わせていったんは採用したドル固定相場制を廃止、単独の「主要通貨」に対するバスケット相場制に移行している。

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