「ロシアは理性では理解できない。ただの物差しでは測り知れない独特の奥深さがある。ただできるのは、ロシアを信じてみること」
19世紀の詩人、チュッチェフはロシアをこう評した。当時、チュッチェフは、現在のロシアの姿を夢想だにしなかっただろう。だが、ここ最近のロシア経済の隆盛ぶりを見ると、この言葉はまさしく正鵠を射ている。
10年前、対外債務の不履行で世界を混乱に陥れたロシアの経済危機は、まるで幻だったかのような変貌ぶりを遂げている。危機後の状況をつぶさに見ないと、この変化を“理性”のみで理解するのはまさしく難しい。

1998年、財政危機に陥りどん底を経験したが、その後、ルーブル切り下げによる国内産業の復調と原油価格の高騰を主な原動力として、8年連続でプラス成長を続けている。2007年上半期の実質GDP(国内総生産)成長率は7.8%を記録し、ロシア中央銀行は今年9月に2007年のGDP成長率予想値を6.5%から7.5%に上方修正した。
金・外貨準備高を見ても、1998年当時はわずか80億ドルだったのが、今年8月末の時点で4160億ドル(50兆円弱)を超えている。実に50倍以上である。しかも、2007年の1月には3000億ドル程度だったのが、半年超で1000億ドル以上も増えている。また、ソ連時代に抱えた対外債務についても既に昨年に解消しており、ロシアは債務国から債権国に転じたのだ。
目を見張るような経済力復活の影では、「原油高依存の経済体制は危険だ」とする国外の論者の指摘も根強いが、それは当事者のロシア政府が誰よりも強い危機感を持って取り組んできた課題にほかならない。2004年に、原油相場に左右されにくい財政基盤を確立するために設置した安定化基金の残高は増加の一途をたどり、今年度末までには1500億ドルを超えるのではないかと予想されるほどの勢いである。
このように“理性”だけでは理解しにくい劇的な変貌を遂げた背景には、税制改革の存在がある。2001年、ロシアのプーチン大統領は一律13%の個人所得税率(フラットタックス)を導入した。それ以前は、12%、20%、30%の累進課税制度で、最高税率30%がわずか5000ドル超から適用になる税制だった。
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EU(欧州連合)の首都ブリュッセル在住の作家兼外資系ビジネスマン。ロシアを含む欧州28か国で日系企業に進出・再編指南を行う。著書は訳書を含めると10冊を数え、近著に『

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