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歴史の残像に翻弄される世界経済

  • ロバート・シラー

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2007年11月26日(月)

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 米国の住宅市場、そして世界の石油や株式市場が混乱に陥っている。こうした中で米国は、消費意欲や設備投資、雇用の面ではまだ急激な落ち込みは見られない。これはなぜだろうか。

 消費意欲や企業の景況感というのは、得てして合理性が働かないものだ。人々の心理とは、イメージに左右される部分が大きいからだ。我々はある事象が起きると、メディアなどを通した一般的な記憶の残像に基づいて想像を働かせ、話のタネにする。

 過去に起きた市場混乱に関する残像は伝説の一部となり、大抵の場合はおぼろげな記憶の彼方だが、時々我々を困らせるためにひょっこり顔を出す。神話に似て、人々が共有している生々しい映像は、恐怖心の現れだ。だが今のところ、過去の市場混乱に伴った残像の大部分は国民の心理に浮かび上がってきてはいない。

 例えば、1973年11月に始まった石油危機。世界の株式市場を暴落させ、深刻な景気後退局面をもたらしたこの出来事は、人々の心に鮮明なイメージを焼きつけた。ガソリンスタンドに並ぶクルマの行列や自転車通勤する人々の姿、「ガスレスサンデー(日曜日はガソリンスタンドを営業停止にする)」、その他の石油消費の制限策の様子などである。  

 実は現在、原油価格は石油危機ピーク時の2倍近くある。それでも73~75年当時のような風景は全く見かけられないし、当時を思い出すことすらほとんどない。従って我々は、石油価格に関してはまだ動揺していない。

 1営業日で過去最大の下げとなった87年10月19日のブラックマンデー(世界同時株安)直前、人々の心に浮かんだ光景は、29年の大恐慌時のそれだった。実際、「ウォールストリート・ジャーナル」紙はその日の朝刊にそうした記事を載せている。私はブラックマンデーの翌週に個人投資家と機関投資家を対象に調査を行ったが、大恐慌の恐ろしいイメージが人々を投げ売りに走らせ、事態を深刻化させる一因となったことは間違いなかった。

国民から消えた大恐慌の残像

 ビルから投身自殺する投資家や公園で眠る失業者、無料食堂にできる長い列、道端でリンゴを売る貧しい少年━━。こうした29年大恐慌の情景は、今は我々の心に浮かんでいない。現代人のほとんどにとって大恐慌は今や関係ないものだ。なぜなら、87年と2000年の大暴落を、ほとんど悪影響なしで切り抜けることができたからだ。1929年は遠い昔というだけでなく、別世界の出来事のように思われるほどだ。

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