「after crisis 燃えるタイ経済」

巨大インフラ続々誕生、アジアのハブへ

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2007年12月11日(火)

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外環道の風景の一部

 11月半ば、タイの首都、バンコクの市内をぐるりと囲む外環状道路が完成した。このバンコク外環道は、バンコク市内の飽和した道路事情の緩和やバンコク市東部に建設された臨海工業地帯へのアクセスなどを目的に1980年から建設が進められたもので、一部の区間は日本からの円借款などで建設資金を調達している。

 このプロジェクトの最後に残った工事区間が、タイの象徴チャオプラヤ川を渡る橋を含む南の部分だ。工事区間は全長22.49キロメートル、このうちチャオプラヤ川を渡るカンジャナビセーク橋は全長500メートルとタイ最長で、総工費は145億バーツ(約500億円)を超えた。施工はタイ証券取引所に上場するCK(チョーカンチャーン)が担当した。

 早速完成したばかりのこの区間を走ってみると、片側が4車線から8車線あるゆったりとした作りで、一般道なのだが高速道路のように、多くの車が100キロ超で飛ばしている。目玉のカンジャナビセーク橋に差し掛かると、橋梁が天を突くようにそびえ立ち圧巻だ。その下には大小のタンカーやコンテナ船が次々に走り、河川港であるバンコク国際港に出入りしていく。

外環道路地図

 外環道の完成で、バンコクを挟んで東西南北の地域は、これまでのようにバンコク市内を通ることなく、それぞれの目的地に行けることになり、市内の渋滞緩和、大幅な時間短縮などが見込まれている。こうした道路網の建設や前回の原稿で紹介した高架鉄道のBTSや地下鉄などの交通インフラの整備で、大渋滞が名物のバンコクの姿は、様変わりしていくかもしれない。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によればタイに進出している日本企業の数は1200社を超える。外環状道路の整備によって、日本企業のビジネスも効率化していくと見られる。今回完成したカンジャナビセーク橋を市内側から東へ渡った場所にある東部臨海工業地帯には、トヨタ自動車(7203)の巨大な配送センターがあり、その隣には日立製作所(6501)の物流センターが控えている。

国道からアジア大街道へ、大プロジェクトは続く

ラオス・タイ第2友好橋につながる国道2号線では、拡張工事が続く

 大規模な道路網の整備は、バンコク周辺に限らずタイの国中で次々に行われている。タイ国内では、少なくとも片側2車線の国道が東西南北の国境まで網の目のように張りめぐらされている。しかも、これらの国道は、タイ国内の主要交通網にとどまらず、東南アジアの大動脈となるべく、2車線の場所は4車線へ、交差点は立体交差点へ、そして国をまたがる橋の建設などと、着々と増強されている。

 こうしたインフラ網の整備は、タクシン前首相のリーダーシップの下で行われてきた。建設工事のスピードは2006年9月に軍事クーデターでやや鈍ったが、軍事政権もインフラ整備自体を否定していたのではない。来年から本格的に動き出すと見られる新しい民主政権の下でも、公共工事は加速していくと見られている。

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著者プロフィール

此下 竜矢(このした・たつや)

ユナイテッド・セキュリティーズ(United Securities PCL)
代表取締役

此下 竜矢

1972年大阪府豊中市生まれ。大阪大学文学部国史学研究科卒後、東南アジアに広範に投資する独立系投資ファンド、APFに入社。2006年からAPFが買収したユナイテッド・セキュリティーズで現職を務める。   (写真:Orie Miyajima)



このコラムについて

after crisis 燃えるタイ経済

1990年代初頭、急成長国の代名詞のように取り上げられたタイも、97年に通貨危機が襲い、今やそのイメージは中国、インドにすっかり取って代わられた。しかし、タイの名目GDP(国内総生産)はどん底に陥った危機翌年の98年から2倍に膨らみ、同じ期間の中国の約2.5倍とそれほど差はない。昨年、バンコクには成田空港の3倍程度の広さの新空港がオープンするなど、タイの成長は巨大インフラの整備と共にさらに進む可能性を秘めている。タイそしてASEAN(東南アジア諸国連合)の今、そして近未来を、タイをベースにビジネスをする筆者が語る。

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