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ユーロ独歩高の真相

ドル余りの影響に大人の対応

  • 本多 秀俊

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2007年12月5日(水)

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 「ユーロはドルに対してどこまで上昇するのですか」

 これは為替ストラテジストとして昨今、よく聞かれる質問だ。この夏の米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題を端緒とするクレジット危機が広がる以前から、個人的には「年内に1ユーロ=1.40ドル、来年3月までには1.43ドルもある」と見込んでいた。しかし、クレジット危機の余波で予想以上に急速にドル安が進行、既にユーロ・ドルレートは1ユーロ1.50ドルに迫る水準にまで上昇してしまった。

 最近では、同じ質問に対して、「中国の人民元の動向次第でしょう」と答えるようにしている。どういうことか。答えは単純で、既にユーロ圏の経済は、対ドルでの競争力を問題にしていないということだ。

拡大するユーロ圏の対中貿易赤字

 今現在、ユーロ圏の首脳たちが最も気にかけているのは、対人民元でのユーロ水準ではなかろうか。下のグラフは人民元の対ドル、対ユーロ相場の推移を示したものだ。年初来、人民元は対ドルで約5.5%上昇しているが、対ユーロでは6.0%超下落している。ユーロ高・人民元安などを反映し、今年8月末までのユーロ圏の対中貿易赤字額は、前年比25%拡大し700億ユーロにも達している。

■人民元の対ドル・対ユーロ推移

 それでもユーロ・人民元相場は、まだ2004年末の高値である1ユーロ=11.3人民元水準を越えてはいない。11月末にユーロ圏首脳が次々に中国を訪れ、中国側から「為替水準の極端な変動を回避し、不均衡な状況から均整の取れた調整に貢献する」との約束を取りつけた。

 この約束はユーロ・人民元の史上最高値更新を回避するための強い意思表示と、取れるのではないか。市場の一部では「中国の外貨準備がドルからユーロに移転することを、少なくとも当面は減速させる」との言質と解釈していた。

ドル安は歴史の必然

 話をユーロ高ドル安に戻すと、そもそも現在のドル安の伏線として、1997年のロシア危機とそれに伴うLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)危機から世界経済が立ち直る過程で、米国を中心に発展したIT(情報技術)ブームと「強いドル政策」がもたらしたドル経済への資金集中は、決定的に重要だった。

 1990年代末から2000年初頭にかけ、世界経済は、米国の消費を唯一最大の成長エンジンとして拡大してきたと言って過言ではないだろう。その結果、積み上がった米国の経常赤字を、不均衡と呼ぼうが、過剰流動性と呼ぼうが、その実態が世界中にばらまかれたドルであることは疑いようもない。

 そうして積み上がったドル資産が、「ドル余り」ゆえに急激な値崩れを招くのは、世界中の誰一人望むことではないだろう。そうした事態を回避するために、さらなるドル資産の膨張(=米経常赤字の拡大)を食い止めるのは世界経済の最優先課題であり、緩やかなドル安誘導による「米購買力の抑制」と「米製品の競争力向上」はその最も有効な手段と言える。

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