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キプロス:
低税率が魅了、EUのロシア投資拠点に

  • スティーブ・モリヤマ

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2007年12月13日(木)

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キプロスの国旗

キプロスの国旗

 ギリシャ神話に詳しい読者の方は、この国が「愛の女神」アフロディーテ伝説の発祥地であることをご存じだろう。実際、この島で結婚式を挙げる欧米人カップルやハネムーナーは多く、豪華なリゾートホテルが数多く立ち並ぶ。2008年1月からはユーロ導入が予定されており、来年以降はこの国を訪れるEU(欧州連合)市民がよりいっそう増えていくことだろう。

キプロスの地図

 地中海に浮かぶ小国キプロスは、人口わずか100万人足らずだが、その3倍近い、年間約250万人の観光客を引き寄せる風光明媚な島である。2004年5月のEU加盟後、経済は順調に成長し、今年のGDP(国内総生産)成長率は4%超と予測されている。インフレ率も失業率も低く、実際、キプロスのいわゆる3K仕事は、移民が就いていることが多い。

 もともとは観光立国で、GDPに占める観光収入の割合が2割以上もあったのだが、近年ではその割合が1割近くまで落ちてきている。その背景にあるのが、近年目覚ましい成長を遂げている金融サービス業である。

タックスヘイブンの名残り、外貨建て銀行口座は20%成長

 かつて国際的なタックスへイブン(租税回避地)として有名だったこの国は、2004年のEU加盟に際し、4.25%だった法人税率を10%まで上げて、欧州委員会に歩み寄った。税率は上がったものの、EU加盟国の中では最も低い税率であり、しかもロシアなどと結んだ租税条約に投資家に有利な条項がある。そのため、キプロスに持ち株会社を作ったうえで、ロシアやウクライナに投資する欧米企業が非常に多い。

 日本企業の場合、法人税が25%以下などの低税率国にある子会社が留保した利益を親会社である日本法人の利益に合算して課税するタックスヘイブン税制に抵触するリスクをはらむため、キプロスに持ち株会社を置く例はあまり見かけない。しかし、キプロスは、英国で資格を取った弁護士や会計士が多数いることから、タックスプランニングなどに熱心な欧米の企業や資産家の間では人気がある。

 実際、EU加盟以来、この島で法人登録する外国企業は毎年2割超の成長を続けており、キプロス中央銀行によると、外貨建て銀行口座の残高は、150億ユーロを超え、しかも毎年20%超の成長を続けているという。ロシア投資を行う欧米企業がキプロスに設立した持ち株会社に送金していることが、こうした成長を支えているのだろう。

 直近では、本年夏、キプロス銀行が、足掛け3年以上もかけてモスクワで銀行業免許を取得し、晴れてロシア進出にこぎ着けたことが話題になった。あまりにも多くのロシアのクライアントを抱えるので、顧客サービスの観点から、ロシアに拠点を持つことが不可欠と判断したのであろう。

■キプロスの主な経済指標の推移

 また、この国に別荘を購入する欧州人も多い。英国人を筆頭に、ドイツ人やロシア人など、既に10万人以上がこの島の不動産に投資しており、市場は過熱気味だという。当然、それに伴い、住宅ローン市場も発展していく。

 実際、この島の信用市場は急速に発展しており、個人向けローン市場の場合、毎年3割超の成長を続けている。ただ、来年のユーロ圏加盟以降は、EU圏の利子率に影響されるようになるため、金融機関は以前と比べて貸し出しに慎重になってきているという。

汚名返上への道

 風光明媚で、経済状況も良好なのだが、過去に起因する一部のマイナスのイメージを、まだ完全には払拭できていない。例えば、マネーロンダリング(資金洗浄)問題については、当局が躍起になって状況改善に努力しているようだが、1990年代に現金入りバッグを持って東欧からやって来る怪しげな預金者たちのイメージが、この国には亡霊のようについて回る。

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