2007年第4四半期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前年同期比年率0.6%にとどまった。2008年第1四半期も状況は変わらず、低空飛行が続くと見られる。
これを受けて、FRB(米連邦準備理事会)は姿勢を一変させて1月以降大幅利下げに踏み切り、大統領と議会が協力して1500億ドル超の減税が実施される運びとなった。
効果の大きい所得税減税
減税法案は、2月13日にブッシュ大統領が署名、成立した。1月18日にブッシュ大統領が指針を示してから成立まで1カ月もたたないスピード成立となった。その中身は、所得税の戻し減税(1067億ドル)と設備投資減税(450億ドル)の2本立てである。
所得税の減税は、2007年の年収が7万5000ドル以下(夫婦世帯では15万ドル以下)の低・中所得者(全世帯数の7割)が対象となる。2008年5〜8月に小切手で還付額が郵送される。1人当たりの金額は600ドル、夫婦では1200ドル、子供1人につき300ドルが追加される。一方、設備投資減税は、2008年年内に設備投資を実施した場合、減価償却の損金算入枠を拡大し、課税コストが半減されるという内容である。
特に、所得税の戻し減税では、送られてきた小切手を使って消費を行うという即効性の高い景気押し上げ効果が見込まれているが、低所得者層ほど、いわゆる「ぎりぎりの暮らし」をしているため、所得を消費に回す比率(消費性向)が高くなる。小切手を貯金せず、消費に回すことになり、景気の押し上げ効果は強くなる。
2001年は2割、2003年は9割の理由
こうした傾向は、2001年と2003年の減税で小切手を送付した際にも見られた。2001年の小切手送付時(7〜9月)は、消費に回らず、景気への即効性は低かった。計算上では、還付額の2割程度しか消費に回っていなかった。
というのも、この時は、所得税率の引き下げによる還付だったが、累進課税を是正し、税率を各所得階層で近づけるためのものだった。このため、対象は高所得者が中心で、還付額も相対的に大きかった。高所得者層は消費性向が低いことから、短期的な消費の押し上げ効果が小さくなったと見られる。
一方、2003年の小切手送付時(7〜8月)は、減税分の9割近くが消費に回る結果となった。イラク戦争直後で景気に対する不透明感が高かった中で、2003年第3四半期の実質GDP成長率は、個人消費を中心に大きく押し上げられた。この時の減税は、子供のいる世帯を対象とした扶養控除枠拡大を受けたもので、消費性向の高い世帯が中心となったからである。
一般的な経済モデルなどで、所得減税時に用いられる減税分の消費性向は、4〜5割である。50%という前提で、今回2008年の消費押し上げ効果を計算すると、1四半期当たり年率換算で2.8%、実質GDP効果は同2%に達する。
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1969年生まれ。93年慶應義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所入社。経済調査部に所属し、アジア経済、欧州経済の調査・分析、日本経済の中期予測に携わる。2001年東京大学大学院経済学研究科で経済学修士号取得。2002年より野村證券で欧米債券市場の調査・分析を担当。2006年より米国野村證券シニアエコノミスト、2008年7月より現職。

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