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第18章 省益油田の挫折(2)

2008年2月18日(月)

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 翌週(9月中旬)――

 「ユーラシア石油輸入」のオフィスにいた亀岡に、電話がかかってきた。

 「……ハロー、ゴロー。ハウ・アー・ユー?」

 駐日イラン大使であった。

 「おお、これはアンバサダー(大使)」

 親しげな声で応じながら、何の用事だろうと訝る。

 「実は、ゴローに頼みが1つあるんだが」

 「何なりと」

 いつもの前垂れで明るく答えた。

 「JBICの総裁とのアポイントメントを取ってもらえないだろうか?」

 「JBICの総裁との? ……用件はどういうことですかな?」

 「石油大臣とNIOC(イラン国営石油会社)の総裁からのメッセージを預かってるんだ」

 「ほう、そうですか。どういう内容の?」

 「ちょっと……今はいえない」

 相手はいい淀んだ。

 「それは困りましたなあ。相手は財務省の元次官で、結構な大物ですからなあ。メッセージを預かってるというだけで、果たして会ってくれますか」

 話しながら亀岡は、何か手立てがないか思考を目まぐるしく回転させる。

 「ゴローの力で何とかならないか?」

 「分かりました。それじゃひとつ訊いてみましょう」

 気安くいって、電話を切った。

 とりあえず訊いてやれば、義理は立つ。

 「あー、どうもー、亀岡ですぅー」

 国際協力銀行資源金融部の幹部に電話を入れた。

 「イランの大使がですな、あちらの石油大臣とNIOC総裁のメッセージを預かってるから、おたくの総裁に会えんかいうてきてるんですが、どんなもんですかなあ?」

 「亀岡さん、それ昨日、イラン大使からうちに直接いってきましたよ」

 電話の向こうの相手がいった。

 「ああ、そうでしたか」

 亀岡はやれやれと思う。

 「内容もいえないんじゃ、総裁に取り次げないと断りました。このご時世に、官邸や外務省を差し置いて、爆弾みたいなものを預かったりするわけにいきませんからね」

 「まあ、そうすなあ」

 「うちで断られたんで、亀岡さんのところにいったんでしょ」

 「しょうがないすなあ」

 亀岡はだみ声で嘆いてみせる。

 「まあ、いっぺんこっちでも話を聞いてみますわ」

 すぐにイラン大使に電話を入れた。

 国際協力銀行の返事を告げると、相手は亀岡を、大使公邸での夕食に招きたいといった。

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「第18章 省益油田の挫折(2)」の著者

黒木 亮

黒木 亮(くろき・りょう)

作家

1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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