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急速に存在感増すアジアの政府系ファンド

  • 竹島 慎吾

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2008年2月25日(月)

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 米国のサブプライムローン(信用力が低い個人向け住宅融資)関連投資損失に伴う欧米銀行の資本増強の担い手となったことで、急速に存在感が高まっているソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)。政府もしくはそれに準じる機関が運営していることから日本では政府系ファンドと呼ばれているSWFは、資産規模が大きい中東の産油国が中心プレーヤーだった。しかし、昨年、中国が2000億ドル規模のSWFを設立したことを契機に、アジアのSWFへの関心も高まっている。

 SWFは主に外貨建て資産を中心に運用しており、その資金源により、原油を中心とした資源輸出で獲得した外貨を運用するファンドと、為替介入で得た外貨(外貨準備)を運用するファンドに大別できる。中東などの産油国は前者、シンガポールや中国などのアジアは後者が中心である。

古くて新しいSWF

 SWFの歴史は1950年代前半のサウジアラビア、クウェートによるファンド設立までさかのぼることができる。石油危機が起きた1970年代には、アブダビや米アラスカ州などが原油収入を管理・運用する目的でSWFを設立したが、設立の動きが加速したのは2000年以降である。

 資産規模が大きい20ファンドのうち、2000年以降に設立されたのは10ファンドと全体の半数に上る。特に2003年以降は8ファンドが設立された。近年になってSWF設立が加速した背景には、原油を中心とした資源価格の高騰や外貨準備が急拡大したことがある。加えて、金融市場のボーダーレス化や運用商品の多様化といった運用環境の変化も大きい。

 IMF(国際通貨基金)の推計によると、世界のSWFの資産額は3兆ドル近くに達している。約1.5兆ドルと言われるヘッジファンドを凌駕する規模だが、生命保険や年金など伝統的な機関投資家が保有する資産額の5%程度にすぎない。にもかかわらずSWFへの注目が集まっているのは、そのダイナミズムや高いリスク選好性に加え、今後、資産の急拡大が見込まれるためである。IMFの予測によると、世界のSWFの資産額は2012年までに12兆ドルへ拡大する見込みである。

アジアの先駆者はシンガポール

 アジアにおけるSWFの先駆者は、シンガポールのテマセクとシンガポール政府投資公社(GIC)である。両ファンド共に30年余りの歴史を有する。シンガポールをモデルとして、マレーシア、韓国、中国などがSWFを立ち上げたが、中でも、昨年設立された中国投資有限公司(CIC)の運用額は2000億ドルと世界の5指に入る規模を誇る。

世界の主要なSWF

 SWF設立が相次いだ結果、アジアのSWFの資産額は約5000億ドルと世界全体の4分の1を占めるようになった。シンガポールの2つの老舗ファンドに中国が加わったことで、シェアが一気に高まった。アジアのSWFの主な資金源である外貨準備の増加は顕著で、2007年末のアジア主要10カ国・地域の外貨準備高 は約2.9兆ドルと5年間で約3倍になった。その大半が中国の増加によるものである。

 アジアで外貨準備が増加する背景には、
(1)輸出競争力を維持するためにドル買い介入を実施していること
(2)アジア通貨危機の教訓として、大量の資本流出に備え豊富な外貨準備を保有するインセンティブが高まっていること

がある。

 中東やロシアなど資源国のSWFの拡大スピードは、資源価格の動きに依存するのに対し、アジアは主に製造業の国際競争力を背景とした経常黒字に依存している。アジアが経常黒字基調を続けると同時に、輸出競争力を維持するために今後もドル買い介入を続けた場合、アジアのSWFは拡大する可能性が大きい。また、アジア各国にとって主な輸出競争相手である中国の人民元改革の動向が、アジアのSWFに大きな影響を与えることになろう。

SWFは救世主なのか

 最近のアジアのSWFの投資事例を見ると、米モルガン・スタンレーやスイスのUBSなど、サブプライム関連投資の損失により資本増強を迫られた欧米金融機関への大型出資が相次いでいる。シンガポール、中国、韓国のSWFによる欧米金融機関への投資額は、300億ドル近くに達した。

コメント1件コメント/レビュー

政府系ファンドを日本に創設することには、全く賛成できません。年率18%、9.5%という数字は、世界の経済成長を遥かに超えるものですから、つまり他人の懐から奪った金ということになります。そのような歪んだ投資が長期的に継続するはずもなければ、倫理的にも優れているはずがありません。また、政府系ファンドを持つ国の多くが権威主義体制の国家であって、民主主義ではありません。日本が政府系ファンドを作ったとしても、どうせ官僚と業界の利権にされてしまうだけでしょう。金融業界の甘言に騙されてはいけません。(2008/02/25)

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政府系ファンドを日本に創設することには、全く賛成できません。年率18%、9.5%という数字は、世界の経済成長を遥かに超えるものですから、つまり他人の懐から奪った金ということになります。そのような歪んだ投資が長期的に継続するはずもなければ、倫理的にも優れているはずがありません。また、政府系ファンドを持つ国の多くが権威主義体制の国家であって、民主主義ではありません。日本が政府系ファンドを作ったとしても、どうせ官僚と業界の利権にされてしまうだけでしょう。金融業界の甘言に騙されてはいけません。(2008/02/25)

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