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米医療保険にメスは入るか?

景気減速で関心高まる、大統領選の重大争点に

  • 安井 明彦

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2008年3月21日(金)

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 米大統領選挙で争点化している医療保険改革は、政府の役割に関する民主・共和党の哲学の違いが反映される論争的な問題だ。しかし、いずれの改革案についても、その成功を左右するのは、地道な取り組みを通じた医療コストの抑制である。

 米国で、医療保険改革が大統領選挙の有力な争点に浮上している。カイザー家族財団が2月に行った世論調査では、大統領選挙の判断基準として重視する論点として、21%が医療問題を挙げている。これは、経済(43%)、イラク(29%)に次ぐ高さである。

米国民に広がる“保険喪失”の恐怖

 有権者の関心の高さには、2つの理由がある。

 第1に、保険喪失への恐怖である。米国では、リストラの対象になった国民は、職業だけでなく医療保険をも失いかねない。米国は国民皆保険制ではない。公的保険の対象は、高齢者(メディケア)と低所得層(メディケイド)に限られる。それ以外の国民は、民間保険に加入しなければならない。多くの勤労世帯は、勤務先の企業を通じて医療保険(団体保険)に加入、企業から保険料の補助を受けている。2006年では、米国民の約16%に相当する4700万人が無保険者である

 第2は、医療コストの高騰だ。ニューアメリカ財団のレン・ニコルスによれば、平均的な家計の所得に対する医療保険料の割合は、1987年の7%から2006年には17%にまで上昇している。もちろん、企業にとっても団体保険のコストは大きい。このため、中小企業の中には、団体保険を従業員に提供しない例もある。

 折からの景気減速は、医療保険問題への米国民の関心を増幅させている。雇用が不安定になれば、保険喪失の危険性が高まる。資産価格の下落で家計のバランスシートが厳しくなっても、医療にかける費用を減らすには限界がある。

衝突する哲学

 医療保険改革が争点化しているもう1つの理由は、これが共和党・民主党の哲学の違いが鮮明に反映される論点だからである。

 両党を分けるのは、政府の役割に対する考え方だ。共和党のジョン・マケイン候補は、政府の介入ではなく、民間保険の活性化を重視する。規制緩和などによって市場競争を加速させれば、医療コストが抑制され、国民が保険に加入しやすくなるというわけだ。

 特にマケイン候補は、個人が直接医療保険を購入(個人保険)できる機会を増やす必要があると主張し、現行の団体保険向け優遇税制を組み替え、企業ではなく従業員が医療保険料に関する優遇税制を受けられるようにする方針だ。団体保険と個人保険の間で、税制上の競争条件を同一にするのが狙いである。

 一方、民主党のバラク・オバマ、ヒラリー・クリントン両候補は、医療保険問題の解決に政府が積極的に関わるべきだと訴える。公的保険や公的支援の拡充によって、無保険者を解消すべきだというのが両候補の主張である。同時に両候補は、企業にも一定の責任を求める。両候補の改革案では、一定規模以上の企業は、従業員への医療保険提供か公的保険への資金拠出を選択しなければならない。

カギは医療コストの抑制

 もっとも、哲学の違いこそあれ、改革の成否を握るカギは、いずれの案でも共通している。医療コストの抑制である。

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