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「経営者独裁」資本主義の到来

1株も保有しない社外取締役は、株主の代表なのか?

2008年4月7日(月)

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 「経営者独裁」資本主義の時代がやってくるかもしれない――。サッポロホールディングス2501が3月末に開いた定時株主総会を見ると、そんな気持ちにさせられる。

 サッポロの総会では、買収防衛策を継続する議案が賛成多数で可決された。総会の時間は1時間余りで、過去10年間で最短。同社の筆頭株主で米系投資ファンドのスティール・パートナーズがサッポロ買収に成功する見込みはほとんどなさそうだ。

 特に驚くべきことではない。サッポロの買収者は、昨年のブルドックソースのTOB(株式公開買い付け)を巡る係争で、東京高等裁判所から「乱用的買収者」と見なされたスティールだ。しかし、買収者がスティールでなくとも、経営陣が買収に反対している限りは、やはり買収防衛策はすんなりと可決されたことだろう。金融機関や事業法人など安定株主が多数派を占めているからだ。

 これらの「与党」株主は、融資など取引上の利益を求めてサッポロ株を取得している。そのため、サッポロ経営陣に気に入ってもらおうとして、経営陣の保身を容認する傾向がある。いわば白紙委任状で総会に臨むわけだ。

1株も保有していない2人の社外取締役の意義

 では、本来ならば一般株主(サッポロの場合は少数派)の立場から、経営陣の保身を防ぐようチェックする役割を担っている社外取締役はどうか。買収されると、経営陣はポストを失うかもしれない。そうなると、買収によって企業価値が高まると分かっていても、買収に反対することも考えられる。そんな時に頼りになるのが社外取締役だ。

 今回の総会でサッポロは社外取締役を1人増員して3人にしている。社内取締役も1人増やして合計10人にしているので、社外取締役の比率が大きく増えたわけではない。また欧米では社内取締役は「利害関係者」と見なされ、独立性の高い社外取締役が過半数を占めるのが一般的だが、コーポレートガバナンス(企業統治)の面では、サッポロは日本企業としては比較的優等生と言えよう。問題は中身だ。

 社外3人のうち旧富士銀行出身の衛藤博啓氏は1万1000株保有している。だが、新日本製鉄5401出身の関哲夫、クレハ4023出身の田中宏の両氏はサッポロ株を1株も保有していない。一方、関、衛藤の両氏は2人合わせて社外取締役として800万円の報酬をサッポロからもらっている(田中氏は今回の総会で社外取締役就任)。1人当たり400万円だ。

 補足しておくと、役員報酬がどの程度か分かるだけでもいいほうだ。欧米企業と違い、通常、日本企業は個別役員報酬を開示していないからだ。サッポロの場合、社外取締役2人に対して800万円払ったと開示されていたため、1人当たりの金額が推定できた。人数が多い社内取締役の個別報酬は分からない。

株価下落と報酬400万円を失うリスクの天秤

 さて、サッポロの社外取締役は一般株主の利益と経営陣の利益のどちらを優先するだろうか。個人投資家や機関投資家など純粋な投資家である一般株主にしてみれば、関、田中の両氏は問題含みだろう。株価がどんなに下落しても、両氏の懐は全く痛まないからだ。懐が痛むとすれば、それは経営陣に嫌われて社外取締役を辞めさせられ、年400万円の報酬をフイにする場合だ。

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